ーーまず、皆さんが演じるキャラクターの第一印象を教えてください。

花江夏樹:(以下、花江) 僕が演じる坊ちゃんは、おどおどしていて見た目も気弱。優しい性格だけど「触ったら死ぬ」という呪いも抱えている。オーディションでも、シリアスなセリフばかり出てきたので、ナイーブなキャラクターだと思っていました。
でも、実際はアリスとのラブコメやギャグのシーンも多くあるので、最初のイメージよりも楽しく演じています。

内田雄馬:(以下、内田):僕は坊ちゃんの弟、ウォルターを演じています。ウォルターは「次男コンプレックス」を抱えている人なんですが…実は僕、オーディションは坊ちゃん役で受けたんですよ。

花江: そうなの⁉︎ 危なかった(笑)。

内田: はい(笑)。でも、現場で花江さんの坊ちゃんを聞いて、僕が演じたらもっと暗い雰囲気になっていただろうなと思いました。そういうカラッとしていない部分が、ウォルターとしては逆によかったのかも。ウォルターの気持ちを理解できる部分も多いです。

神谷浩史:(以下、神谷) 僕はザインを演じています。オーディションのお話を最初にいただいたとき、実は「僕が受けてもいいんだろうか?」と思いました。年齢的にも漫画を読む習慣がなくなっていたし、感性も衰えている気がして。ですが、マネージャーに「いい作品なので、頑張ってほしいです」と背中を押され、やるからには全力でやろうと思いました。
オーディションではザインのカラスと人間の声の演じ分けを楽しんでやったんです。でも、いざ本番が始まったら「演じ分けなくていいです」と言われ…。

花江&内田: (笑)。

神谷: てっきり、その演じ分けのおかげで合格したと思っていたので、じゃあ僕はどんなふうに演じればいいんだ?と(笑)。ですがザインは物語上、坊ちゃんのような呪いやウォルターのように劣等感を抱えたキャラクターではないので、無責任に楽しめています。いや、無責任と言うと聞こえが悪いかな…?(笑)

花江: いい意味で無責任に、場を引っ掻き回してくれるキャラクターってことですよね?

神谷: そうそう。自由にアプローチできるので、やっていて楽しいです。


ーー他のお二人が演じるキャラクターについては、どのように見ていらっしゃいますか?

花江: 僕、ザイン好きなんですよ〜。なんて言うか…一通り遊びつくして、一回ちょっと落ち着いて、今は自由に趣味とかに没頭してるおじさんみたいなキャラで。

神谷: あはは(笑)。そんな感じに見えているんだ?

内田: 余裕がある感じがカッコいいですよね。

花江: うん。一方、ウォルターは…うるさい(笑)。一見カッコいいキャラなのに、ギャグシーンでいちばんうるさいポジションなので、そこを演じるのが楽しそうだなと思います。

内田: アフレコでも毎回叫ぶシーンがありますからね。今日もアフレコだったんですが、叫んできました(笑)。

花江: ネガティブな思いを抱えているんだけど、それを内に溜め込むんじゃなくて発散する人なので、明るく見ていられます。

内田: それはよかったです(笑)。僕が坊ちゃんとザインに対して思うのは、どちらにも「優しさ」があるのが素敵だなと。坊ちゃんは生まれから不幸なはずなのに、それを他人にぶつけずに自分の中でなんとかしようとしているところが優しい。ザインも、カフとの関係を見ていると優しいキャラなんだなと思います。

神谷: 僕はキャラというよりも、花江くんと雄馬くんに対して思うことがあって。坊ちゃんもウォルターも、設定だけ見ると悲惨な生い立ちですよね。でも『死神坊ちゃんー』はエンタメ作品なので、見ている人に悲惨だと思わせないことが大事。僕は、そのために必要なのは、スター性だと思っているんです。

内田: なるほど…。

神谷: そのスター性が、二人にはしっかり備わっているから、安心して見ていることができます。声質も明るいし。周囲の人間が「かわいそうだな、怖いな」じゃなく「この人たち、なんとかしてあげたいな」と思えるアプローチができる二人なんですよね。

花江&内田: う、嬉しい…!!

花江: 神谷さんに、そんなこと言っていただけるとは…。ちょっと気恥ずかしいですが(笑)

内田: ありがたいです。しっかり受け止めます!!




ーー魅力的な女性キャラもたくさん出てきますが、特にお気に入りのキャラを教えてください。

花江: 僕はやっぱりアリスです。坊ちゃんと、お互いに「好き」という気持ちが通じ合っている上で逆セクハラをしかけてくるのが、設定をうまく組み込んだドキドキがあります。

内田: いいですよね〜! お互い好きだからこそのやりとりがたまらない。

花江: ミステリアスなキャラですが、ふとしたときに照れたり、坊ちゃんに対する一途な気持ちが見えるとかわいいなと思いますね。

神谷: 女性キャラ、全員ちょっと変わってるからなぁ…(笑)。いちばん分かりやすいのはカフですよね。文字すら書けないっていうおバカな部分があるので、そこは心配ですが(笑)。それも、文字が必要ない環境に暮らしているから学んでこなかっただけで、本当に必要なら学ぼうとするでしょうし。

内田: 僕もカフはかわいいなと思います。でも、もし僕とカフが一緒に生活することになったら、お互いおバカだから困るかもという心配があって…。

神谷: ちょっと待って。雄馬くんは、自分がバカだっていう自覚があるの?

内田: はい!

神谷&花江: あはははは(笑)。

内田: なので僕は、アリスかヴィオラですね。でも、ヴィオラは枯れ専だしなぁ…。僕自身、まだ枯れてないぞという自負があるので(笑)アリスに好きになってもらいたいです。ヴィオラもそうですが、アリスって好きな人に対して一途なところがいいですよね。後ろから「ファイト!」って言いたくなります。

花江: あれ? アリスに好きになってほしいんじゃないの? 最終的に雄馬くんは、どうなりたいの?(笑)

内田: 僕、好きなものや人をまっすぐ追いかけてる人が好きなので。そういう人に「ファイト!」って言いたいんですよ。

神谷: アリスを応援したいってこと?

内田: そういうことです。

神谷: 途中から全員混乱しちゃって、今ようやくスタッフさんたちも一斉に「ああ〜」って納得してたよ(笑)。

ーー他に気になるキャラクターはいますか?

花江: やっぱり、ロブじゃ無いですか?

神谷: ロブも凄まじく何も考えていないキャラクター(笑)。あんなに長く生きてるのに…。

花江: いや、あえて何も考えていないように見せてるだけですよ、きっと!(笑)ああいう感じがまた、モテると思うんですよね。

神谷: それは間違いないね。


ーーところで、アフレコはどのように行われているんですか?

花江: 今はコロナウイルスの感染対策で、ひとつのブースに入れるのは最大4人までと決まっているので、僕はだいたい別室でひとりで録ることが多いです。

内田: 物理的に他の人に触れない場所にいるから、役柄的にもぴったりですよね。

花江: ちょっとさみしいけどね(笑)。

神谷: 別室にいる花江くんの声はイヤホンから聞こえてくるんですが、不思議な感覚です。花江くんって絶対にミスをしないから、リアルタイムで録っているはずなのに、すでに収録済みのように感じて。

花江: そんなことないですよ…!

神谷: たまーに、ちょっと絵と声がズレたときに、そうだ、今一緒に録ってるんだった…と思い出します(笑)。

内田: 僕は現状、ヴィオラと一緒に録ることが多いですが、(ヴィオラ役の)水瀬いのりさんがすごくて。普段は落ち着いているんですが、本番になった瞬間にパーン!!ってなるんです。

神谷: パーンとは…?

内田: 頭がパーン!!みたいな(笑)。ヴィオラってそういうキャラじゃないですか?

神谷: この記事を読んでいる方に伝わっているかなぁ…?(笑)でもたしかに、水瀬さんは頭の回転が早いよね。

内田: はい。それを見て僕も、こういうテンションで行く作品なんだなと気づきました(笑)。水瀬さん以外にも、全員安心感のある方ばかりです。




ーー作品全体を通しての見どころは、どういうところでしょうか?

花江: 2Dと3Dが混ざったアニメーションなので、原作の魅力も殺さず、さらに3DCGならではの立体感が出ていて面白いです。とにかくアリスの胸が大きくて…(笑)。

内田: 迫力がありますよね(笑)。3Dだと奥行きが生まれて空間が広く見えるので、その中でキャラクターが自由に動き回っていて楽しいです。

神谷: 僕はCGにすると、アニメーターさんの作家性が見えづらくなるんじゃないかと思っていたんですよ。でも監督いわく、CGでも表情や動きで作家性は出せるらしくて。さらに作画が崩れることもないので、画期的ですよね。
この手法がもっと広まれば、アニメ業界全体の発展の仕方も変わってくるかもとワクワクしています。

花江: あとは音楽ですかね。劇中でミュージカルのように歌うシーンもあって、僕もまだ完成を見ていないので、どうなっているか楽しみです。





ーー今作は「呪い」がテーマですが、皆さんが日常でかかりたくない呪いをひとつ挙げるなら…?

神谷: いや、呪いなんてだいたい何でもかかりたくないでしょ(笑)。

花江: あえてひとつ挙げるなら、僕は「自販機やコンビニのお釣りが、細かいのばっかりになる呪い」ですかね。

内田: ああー、嫌ですね、それ(笑)。500円のお釣りが全部10円玉で返ってくるみたいな?

花江: 毎日それだとつらいよね(笑)。

内田: じゃあ僕は「毎回、改札でICカードが認証されない」呪いで。「ここで引っかからなければ、一本早い電車に乗れたのに…」って毎回思うのはイヤなので(笑)。

神谷: 僕はすでに「プレイステーション5が買えない呪い」にかかっていて。

花江&内田: あぁ〜!

神谷: 何度も抽選に申し込んでるんだけど、そのたびに外れているんです。こうなったら当たるまで申し込み続けてやると思っているんですが、仮に手に入っても、今はやりたいソフトは特にないから。最近は抽選に当たるかどうか自体を楽しんでます(笑)。

内田: アリスに触れられるかどうか、ギリギリを楽しむのと似てますね(笑)。

花江: 思いは募ってる時が一番楽しいですからね(笑)。

ーー最後に、サンデー読者へメッセージをお願いします。

神谷: 僕は『うる星やつら』や『らんま1/2』世代。大好きな雑誌だったので、今読んでいる皆さんも引き続きサンデーを愛してくださいね。

花江: 僕は『犬夜叉』世代でした。あと『うえきの法則』とか…。

内田: うわー、懐かしい!サンデー、最高!

神谷: 適当だなぁ(笑)。

内田: いやいや(笑)。『死神坊ちゃん〜』はアニメも登場人物たちが最高にかわいく動いているので、原作もアニメも両方楽しんでほしいです。

花江: 僕も原作は新刊が発売されるたびに買って、妻と一緒に家で読んでいます。なかなか外に遊びに行きづらいご時世なので、お家でアニメと漫画を楽しんでくださいね!