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レクリエイターズ ネイキッド

4 april

4月19日

20.1/メテオラ、すとんと座り直し。
メテオラ「……最初の話に戻す。私達は一つ一つの物語に描写されてこの世界に存在している。仮説は幾つか立てられるが、そもそも独立していた私達の世界とこの世界が相互に共鳴し合い、それが誰かの思考として発露した結果、この世界で架空の物語として描写されたという考え方も出来る。だけど私は、その仮説に疑問を呈する」

袋を逆さにして、ポテトの滓を口に放り込み、その袋を振ってみるメテオラ。
メテオラ「さっき、これを食している時にも言ったけれど」
メテオラ「この世界の情報量は異常。私の世界も勿論、世界を構築するにふさわしいだけの情報量を持っていた筈。でも、この世界の情報はすべて重層的。どんなつまらない情報も、単数では書き表せない複雑性を持っている」
メテオラ「それらはまた絡み合い、無限に新たな情報を産み出す。桁違い。この情報量を見てしまえば、私のいた世界は書き割りに等しい。この世界における膨大な情報量が別の世界を『可能性』の結露として誕生させる事は、十分に可能だと私は思う」

セレジア、むすっとしながら。
セレジア「私は認めるつもりなんてないわよ。それを認めたら……なに? ここの連中がアソビで考えた事が、私の世界を左右してるってことになるじゃない。バッカバカしい」
メテオラ「あなたの懸念は解るが、それはあなたの、存在理由の確定にまつわる不快感に過ぎない。事実を気分で隠蔽する事には、私は反対する。それに、先の夜にあなたを誘った、あの存在も」
セレジア「彼女が、なに?」
メテオラ「彼女とは、世界の様相に関して見解の一致を見た。彼女が私にした説明は、全てではないけれど、ある程度は整合性のとれたものだった。彼女は極めて自覚的に、状況を観測している」
セレジア「あんな失礼なやつを、よくそう褒めるわね」
メテオラ「態度や性格は客観的観察や理論構築と関係がない。平たく言い換えれば『気に食わないが、言っている事は正しい』という事」
メテオラ「彼女が私にもたらした情報はそう多くはないけれど、私に協力させる為に、彼女は自らの計画を語った」

セレジア、うんざりした様にため息をついて頭を掻く。
セレジア「昨晩、切り合いしながら言ってた様な事ね?」
メテオラ「私が現界した時、貴女の時と同じ様に私の前に彼女は現れ、言った。この世界の姿を知れば、『物語世界』から来た者は皆セレジアの様な反感や不安を持つのが当然。彼女は私に、逆に『造物主』達へと影響力を行使し、私達のいた世界を作り替えさせようという提案をした」
セレジア「提案としては悪くないわ。まあ、『造物主』に文句が言えるなら、確かに一言くらい言ってやりたいもの」

メテオラは説明を続ける。
メテオラ「本来なら想像力から『可能性』として産み出された世界は、分岐し確立した瞬間からこの世界とは直接因果関係を持たない世界として独立する筈。少なくともわたしの『万理の書』はそういう結論を下した。しかし」
メテオラ「本来ならば存在すら認知する事も出来ない筈の、世界の軛(くびき)を彼女は超えた。全ての世界の濫觴(らんしょう)であるこの神代の地への突破口を開く事で、他の『想像世界』、『物語世界』と言い換えてもいいけれど、それらの世界と、この神代の地を衝突させる事に成功した」
颯太「衝突させた? 繋げたって事じゃなくて?」
メテオラ「衝突。言葉の綾じゃない。彼女は自分の口で私に、そう語った。それが何を意味するかは──」

言いよどむ。
メテオラ「……とにかく、彼女は何か別な所にその意図を隠し持っている。そう言う相手と組まない、あなたの見立ては正しかったと思う」
セレジア「まあ、それもどっかの誰かさんの『設定』のおかげかも、だけど」
メテオラ「否定しない。むしろその可能性が高い」

その返しにむくれるセレジアに。
メテオラ「私も彼女に関しては、貴女と同じ見解。彼女の言ってる事はどこかに嘘がある。でも彼女は、そうした質問全てをはぐらかそうとした」
メテオラ「だから、私は袂を分かった。彼女は『万理』を知る私を、脅威と受け取っている筈」
セレジア「あの女は、何者なの? ──あんまり言いたかないけど、どの『世界』から来たの?」
メテオラ「一切語らないし、おくびにも出さない。名前さえ解ればそこから辿る事も出来ようけれど、慎重で用心深い。私の魔導書は、情報の経路が繋がらないと知識を導きだす事が出来ない。突端さえ掴めれば、なのだけれど」

颯太に向き直り。


※ 4/30 公開


メテオラ「私やセレジアは多分、この世界に適合する様『変換』された。私たちが二次元的な形態やポリゴン、ドットの塊でなく、颯太殿と同じ様な姿で顕現しているのは、この世界の修復力に依る所が大きい」
颯太「修復力?」
メテオラ「つまり、この世界は法則性を堅持するため、出来る限り辻褄を合わせようとする作用があるのだと思う。だけれど、この世界に矛盾極まる数多の『物語世界』を融合させて、無事で済ませるほどの弾力があるとは思えない」
セレジア「彼女には確信があるんじゃないの? 自信満々なタイプだったし、彼女はあなたぐらいの物知りに見えたわよ」
メテオラ「ここからはわたしが立てた仮説。私は私の立てた仮説に基づいて、彼女と貴女が干渉しあうのを阻止した。私と貴女が今こうやって干渉し合っているのも、実はネガティブな状況を産む可能性を孕んでいる」
颯太「な、何を言ってるのかよくわからないんですけど、あの、こうやって話をしてたら、何かまずいんですか?」

メテオラとセレジア、顔を合わせて。
セレジア「うーんと、要は、この世界にいない筈の人間がなんかしてるだけで、いちいちこの世界は辻褄を合わせなきゃいけない、そう言う訳よね?」
メテオラ「そう。しかも私達は見ての通り──」

回想、セレジアが空を飛び剣戟を交わすシーン。
メテオラ「この世界には存在しない、物理法則を無視した能力をそのまま持ち越している。世界の辻褄合わせが間に合っていないのか、世界の浸食が予想を越えて影響しているのか。とにかく世界に対して負荷を掛け続けているのは間違いない。私達が集まり結託して、この世界に干渉する事が良い結果を生むとは思えない」


颯太、おずおずと手を挙げる。
颯太「あの……、ちょっといいですか」
セレジア「なに?」
颯太「でも、あのもう一人の誰かは、わざと……そうしようとしてた気がするんです」

回想。軍服の少女とメテオラの会話シーン。
颯太「ですよね? そうじゃなきゃ、あんなに無頓着に、暴れたりはしないと、僕は思うんです」

無表情で颯太を見やるメテオラ。
メテオラ「……彼女の本当の目的を見定める事は、私達がそれぞれの世界に帰還する為の加功(かこう)となる筈。でもその前に」

セレジアの目を見つめ。
メテオラ「昨晩も話したけれど、私にはどうしても叶えたい目的がある。それがリスクを敢えて踏み越え、あなたと助力を乞う理由」

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