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レクリエイターズ ネイキッド

4 april

4月24日

28/仕事場の呼び鈴が鳴る。小説版『フォーゲルシュバリエ』のイラストレーター、まりねが仕事場にやってくる。

まりね、靴を脱ぎながら。
まりね「松原さん、なんですか一体。急に来てくれって言われましたけど、そんな、急に打ち合わせとか言われても困っちゃい……」

セレジアとメテオラがそこにいる。

固まるまりね。
松原「話を聞いてくれ」


29/まりね「あの……大体解りました。うそです、本当はまだよく解ってませんが。その、で、わたしは絵を描けばいいんですか」

まだキョドってるまりねを囲むキャラ達。
メテオラ「このシーンを描いて欲しい。創作世界が強化されれば、具現化される可能性が上がる、というのが現在の仮説」
まりね「ふーん……でも、これ前後ないんですね」
颯太「前後ないと駄目なんですか?」
まりね「あった方がいいですよね。ないと、ちょっと絵が出て来ないんですよう」
松原「あー、じゃ、今書く」 パソコンに向き合う松原。

やがてカタカタと音が響き始める。


30/もじもじとしていた颯太、やがて「あ、あの、なにか飲み物でも──」

松原、少し頭を上げて。
松原「あ、そう? 悪いね。そこにあるもの、使っていいよ」

まりね、セレジア、メテオラの四人も沈黙の中モジモジしている。セレジアはその雰囲気を察知してまりねに問いかける。
セレジア「あの……なにか?」

まりね、気恥ずかしそうにおずおずと。「『セレジア』……さん?」
セレジア「はい?」

まりね、緊張しながら。「あっあっ、あの、少し見せてもらっていいですか、その、服とか」
セレジア「いいわよ。どうぞ」

そう言って立ち上がるセレジア。その周囲を物珍しそうに、ぐるぐると見てまわるまりね。
まりね「凄いなー。本物ってこんななんだ、凄く綺麗。あ、ここ、こうやって縫製してるんだ。意外」

人懐っこい喋りで接するまりね。
セレジア、笑いながら。「変な話だけど、これだってあなたが描いたデザインなんでしょう? どうやって思いつくんだろうって」

まりね、少し考え込んで。
まりね「んー……描いてるとですね、こう、どんどん繋がっていくというか。勿論ああしよーこうしよーとかも考えますけど、ノッてくると勝手に筆が描いてくれるといいますか」
メテオラ「有機的に情報が連なっていく事で、加速度的に連鎖反応が起きる。それが想起のプロセス。意識下で膨大な計算をしてる」
セレジア「すごいな。私、そういうのには縁がないから。ずっと、戦いばっかだったし」
まりね「す……すみません」

セレジア、松原を指差し「まあ、わたしが戦ってるのは、恐らくあいつのせいなんだけど」

フォローする様に身を乗り出すまりね。
まりね「でも、あの、素敵な物語ですよ! 私この作品に関われて良かったです、セレジアさんもカロンもかっこいいですし!」

久しぶりにカロンの名前を思い出すセレジア。
セレジア「カロンか……今、どうしてるんだろう」
まりね「心配ですよね、カロンさん、彼氏さんですもんね」
セレジア「ちちちち違う! 違うわ! だいたい貴女がなんで──」

と言ってから、思い出した様にため息。
セレジア「そうね、良く考えたら皆知ってるのよね。なんでこんな事になっちゃったんだろう」
メテオラ「こんな事になったのではなく、本当はそうだった。その言葉は因果関係が前後している」

とすげなく言う。
まりね「んー、一つ解んないんですけどね、どうしてカロンさんはこっちに来てないんでしょう」
メテオラ「私もそれは気になっていた。法則性はあると思うけれど、その法則が不明。観測範囲では私の世界からも、現界しているのは私だけ」
まりね「メテオラさんもあのゲームの『主人公』じゃないですもんね。どういう仕組みなんだろう。なんなんでしょーね」
メテオラ「まだ情報が、圧倒的に不足している。いずれ、明らかになるだろうけれど──」

颯太がインスタントコーヒーを持って運んでくる。
セレジア「気が利くじゃない、ありがとう」と言ってから中を覗いて。「うわ、黒。飲んでもいいもの?」
メテオラ「コーヒー。熱帯性植物の種子を乾燥させて抽出したもの。嗜好品」
颯太「セレジアさんの世界には、無かったの?」
セレジア「お茶に類する物はあったけれどね。多分これはないと思うわ、あのおっさんが『設定』してなきゃね」

松原の背中。黙々とキーを打つ音だけが響く。セレジア、手に持つコーヒーを見つめ。
セレジア「この世界は──匂いをね、凄く感じるの。そこが一番、私の世界と違う」
セレジア「情報量が多いとメテオラは言ったけれど。ここに来て一番、それを感じるのはこういう時。すごく複雑で色々な香りが混じるのね」

マンションのベランダの外に日が落ちようとしている。セレジアはコーヒーの香りを嗅ぐ。
セレジア「私、この香りは好きよ。夕日の香りと混じって、凄く素敵ね」

まりね、それを微笑ましく見ているが颯太に振り返り。
まりね「颯太さんは、こっち側の人ですよね」

颯太、少し複雑に。
颯太「ええ、あの、普通の高校生です、架空の方じゃなくて、こっち側の……こんな事になったのは、その、あの、ただの偶然で……」
まりね、ちょっと小首をかしげて。
まりね「ふうん……でも、なんか、偶然とかいうのは、ない気がするなー。なんかしら、縁があったんじゃないですかねえ」
颯太「縁……ですか」

メテオラ、何かを感じた様に、真剣な目で二人のやり取りを見つめる。

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