週刊少年サンデー、サンデーGX、ゲッサンが協力する小学館の無料漫画サイト!

レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月1日

45/東池袋か、もしくはサンシャイン通りのファミレス。

飯をかっこむ弥勒寺。

呆れた様に見る三人。
弥勒寺「いやー、うめえ!! こっちに来てからよ、一食も食べてなくてさ。まあ、うちらの世界とカネは共通みたいなんで、使っちまえば良かったんだが……なんせこの先、何があるかはわかんねェだろ?」

あれよあれよの間に、口の中に食事を放り込んでいく弥勒寺。
松原「あんたは、大体のいきさつ、もう解ってるのか」
弥勒寺「ああ、わかってるよ。なんだ、俺らは創られた世界の人間だってな。笑うわ、翔の奴に教えたら、あいつどんな顔すっかな。くっそ下らね」
松原「翔って誰だ」
弥勒寺「『あっち』にいる、俺の遊び友達だよ」

颯太は松原にそっと耳打ちする。
颯太「『閉鎖区 underground -dark night-』の主人公です」
セレジア、身体を動かそうとして痛みに顔を顰(ひそ)めながら、弥勒寺に言う。
セレジア「貴方の所にも、あの女は来たの?」
弥勒寺「ああ……あの偉そうな女。来たかな? あんまり興味ねえから、覚えてねえや」 苛立ちを顔に出すセレジア。
セレジア「交換でしょ。知ってる事は話して」

弥勒寺、パフェを舐めながら。「ッせえな、冗談だよ。……にしてもこれうめえわ。なーんか、味が複雑で。面白ェなあ、この世界」

スプーンを置いて乱暴に机の上に足を投げ出す弥勒寺。
弥勒寺「さっきの話だけどよ、会ったよ、あの軍服みたいなのを着た女だろ。俺ァ三日くらい前にここへ飛ばされて来たんだが、すぐ来たぜ、あいつ。見た目はガキだが、やったら上から目線で喋る、高慢ちきな感じの女だ。糞ムカつくオヤジと一緒に来やがったんで、そのままケンカになっちまった。──ま、それきりだ」

松原、不審げに眉を寄せて。
松原「オヤジだって?」

その意味に気付き、セレジアを見る颯太。
セレジア「他にも『キャラクター』が現界してるって、ことよ」

弥勒寺、鼻で笑って。
弥勒寺「同類だろうな。こっちの世界じゃ、宙に浮ける奴なんていねェだろ」
弥勒寺「話を戻すぜ。あの軍服のガキ──あいつはこの世界を、神の世界だと言ってた。言葉で何でもかんでも作り上げられる世界だってな。俺のいた所も、『造物主』さえ探し出しゃ作り替えるのは簡単だ、とよ。そんな事をほざいてた」
セレジア「あなたは、それを信じなかったの?」

弥勒寺、笑って。
弥勒寺「『造物主』を捻り上げて世界を変える? ああ、そうやって楽しい世界に創り直すのも一興だろうな」

少し鋭い目付きに変わり。
弥勒寺「でもよ、誰かさんが作った檻ん中で飼われてる、ってのが解っちまった今、てめえの虫かご心地よくするのに、なんか意味ってあんのかね?」

メニューをめくり、気のなさそうに。
弥勒寺「それに、虫かごは虫かごなりに気に入ってるんだ。ダチも仲間も、それから翔の野郎も──……、来ねえかなあ、あいつ」
セレジア「変わってるわね。創作者に興味はない?」

弥勒寺、少し真面目な顔になって中空を見つめる。
弥勒寺「……言いたい事がねえ訳じゃねえさ、勿論」
弥勒寺「そいつが俺たちのメチャクチャな世界を作って、俺たちの関係に手を加えた。元を正せばそうだろう。だけどよ……」
弥勒寺「俺はそいつに拘るつもりはねえ。その作者とやらもここを見渡しゃ、只の普通の人間で、俺らが考える様な神、ってんじゃないだろ」
松原「ま、そうだな。俺たちは万能でも全能でもない」

弥勒寺、腕を頭の後ろで組み、一人事を言う様に。
弥勒寺「そういうわけで、まあ……しばらく俺のやりたい様にやらせて貰う。勿論そいつに会って、聞きてー事は聞かせてもらうつもりだけどな。あんたもそうだろ?」
セレジア「勿論よ。というかまあ、私はもうそいつに会って、話も聞いてますけど。ねえ、『造物主』どの?」

と言いながら松原を横目で見る。
松原「あー……まあ。俺が、一応彼女の創作者っつうか、『造物主』って事になる」

弥勒寺、それを聞いて僅かに驚きを顔に出す。
弥勒寺「へえ……、作ったやつと作られたやつが揃ってる、ってか。……あんた達、試したか?」
松原「何を」
弥勒寺「その、『改変』ってやつだ。あんたなら、彼女の『設定』をいじれるんだろう?」
颯太「それが、駄目だったんです」

ん、という顔で颯太を見る弥勒寺。
松原「色々と試してみたんだが、そんな簡単なものじゃないらしい」

弥勒寺、少し考え込む様な表情をして。
弥勒寺「……やっぱ、り、なァ……」
弥勒寺「あの女の言う事には、どこか胡散臭い所があった──……そうか、俺もなんとなく、そうなんじゃねえか、って気がしてたんだ」
セレジア「何?」
弥勒寺「んー……そんな簡単じゃねえ、って事さ。それなら繋がるんだ、俺だけが来て、翔がこっちに来てねえ理由」
松原「どういう事だ?」
弥勒寺「タバコ、持ってない?」
セレジア「ふざけないで」

松原、セレジアを制してタバコを取り出す。
弥勒寺「お、話が解る。サンキュー、おっさん」

深々と煙草を吸うと、紫煙を吐き出す弥勒寺。
弥勒寺「うまいねえー。これも、俺がいた場所とは違って味が深い、うん、いい」

もう一口吸って吐き出すと、三人を正面から見据える。
弥勒寺「あんたら気付いてないのか? 俺たちは『物語』なんだろう」
弥勒寺「─―変な話だが。俺たちがここにいるのは、多分、『多くの人間の中で印象に残ってるから』だ。呼び方は『人気』でも『興味』でもなんでもいいが──まあ、そういうのがとりわけ強かった奴が、こっちの世界へのチケットを貰えた……俺はまァ、そう考えてんだけどね」
弥勒寺「翔が来なくて俺が来た、ってのは、別の要因がなきゃ……このオハナシを支持してる連中の中では、翔より俺の印象の方が強いんだろうさ。ま、選択基準なんて解らねえし、あの軍服女が決めてるとも思えねえ」

セレジア、呆れた様に。
セレジア「下らないわ。何の根拠よ」
弥勒寺「根拠なんてねえさ、ただの直感だよ。ただ俺ァ、そうやって生き延びて来たからな……直感てやつを、そうバカにしねえ様にしてんのさ」
セレジア「その話と、創作者の干渉がうまく行かない話のどこが関係あんの?」
弥勒寺「わかんねーのか、あんた、出来がいいのはツラだけかよ?」
セレジア「なんですって……ッつッ!?」

立ち上がろうとして、激痛に身をよじる。
弥勒寺「さっきまで自分が何してたんだか、よく覚えてねーらしいな……まあいいや、どういう事かってェと」

口をつぐんで考え込んでいた松原、口を開く。
松原「誰かに読まれて共感されなきゃ、物語にはならないって事か」

弥勒寺、明るく笑って。
弥勒寺「それだよ、ご明答。とはいえ正解者に上げられるもん、なんもねーけどな。ま、そう言う意味ではホント、アンタ達は神様だよ。逆に言や、知ってもらって拝まれなきゃ、ご利益なんか発揮出来ねえって事だ」

毎日0時更新です