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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月11日

76/写真資料を見せる。
菊地原「荻窪事件の前に、十条駐屯地法務部から防衛省へ報告が上がっていたものです。ここに空を飛んでいる人影が。連続写真です」

明らかにメテオラの姿。
颯太「メテオラさんだ」
セレジア「見られてたの?」

メテオラ、少しばつの悪そうな顔で。
メテオラ「……どこかで『彼女』に実力行使の意思を見せなければ行けないと思っていた。しかし私は、攻撃系の魔法に聡(さと)くない」
メテオラ「というわけで、ちびっと拝借を。緊急避難と言う事で、勘弁して欲しい」

菊地原、その言葉をスルーし。
菊地原「当該駐屯地補給廠に保管されていたATM5対戦車ミサイルを六基。MINIMI多用途機関銃一挺及び実砲1ケース。MK26手榴弾を一ケース。そのうちATM5は、十月二日における清水公園での乱闘で、六基全てが使用されています。ですね?」

誤摩化す様に、妙にうわ滑った声で喋るメテオラ。
メテオラ「まあ、なんだろうか、その、示威行動としては上出来であったと思う」
菊地原「ATM5は一基二千六百万円、全て国民の血税で賄われております。ちなみに六基ですと一億五千六百万円になります。また、その際に貴女が破損した立体駐車場及び公園の備品は、刑法上、器物損壊であり民法上は賠償請求の対象になります」

メテオラ折れる。
メテオラ「勝手に使ってごめんなさい申し訳ありませんでした」


77/菊地原、ポーカーフェイスで。


菊地原「はい、最初からそう仰って頂けると」
菊地原「意地悪で言った訳ではありません。今後は安全と情報保全の観点から、そのような事はお控え願います。もし必要の生じた時には、当会議の承認を受けてからと、お約束下さい」
メテオラ「……むぐ。緊急の場合の自主裁量を得られるのであれば、必ず一報入れる事を約束する」
菊地原「実は、今のお話に関連した事ですが」資料をめくり。
菊地原「貴女、そしてそちらの……セレジア・ユピティリアさん、ええと、松原さんの『創作物』ですね」

セレジアが何かを言おうとする切っ先を制して。
松原「モノみたいな言い方、やめてくれよ」

菊地原、事務的な口調を崩さずに謝罪する。
菊地原「失礼しました。私達も、なにぶん前例のない事ですので。架空であってもここにあなた方が現に存在する以上、人格と人権は尊重するつもりです」
菊地原「話を戻します。清水公園で戦っていた相手に関して、私達は殆ど情報を持っていません。その人物と貴女達のトラブルの原因は? そして彼女は何者か、ご存知なのですか」
セレジア「どこの誰だか、私達が聞きたいくらいよ」

メテオラ、険しい顔をして。
メテオラ「むしろ私達は、あなた方に協力を願いたい。まだ仮説ではあるけれど、彼女は恐らく、世界に対して重大な策謀を持っている」
菊地原「初耳です。是非お伺いしたいですが」
メテオラ「──では……」


78/仮説に関する説明をする。どよめく制服、背広組。


背広組A「信じられん」
背広組B「信じるに足る資料を出して貰わんと」
背広組C「専門家会議を招集しなきゃあ、駄目なんじゃないかね」
背広組D「専門家って誰を呼ぶんですか、こんな事は前代未聞だ」
背広組E「菊地原君」

菊地原の上司である災害・防災担当主席審議官の槙野が声をかける。
主席審議官「君、どう思う」
菊地原「まだこの段階で結論を下すのは早計であると思いますが、ここまでの経緯を見ても明らかな様に、既知の物理法則を無視した事態が連続して起きているのは、厳然とした事実です。彼女の言を借りるのであれば、世界が弾力を保ってるうちはその『軋み』は小さく、目に見える自然現象やその他としては認識出来ない。しかし、誰の目にも確認出来る『軋み』が起きた時には」

メテオラ、後を引き継ぐ。
メテオラ「『大崩潰』の始まり。そうなればもう、食い止める事は出来ない」


79/メテオラ、静かに立ち上がり。


メテオラ「私は『万理の探求者』。諸氏の理解の埒外にある事にも、私は識り得る範疇にある。彼女が何らかの自発的な目的を持って、各世界の衝突を呼び寄せているという前提が真である以上、その想定が最も現実性に合致すると考えている」

官僚の一人が唸る様に。
官僚「裏付けがないとなあ。事態の緊急性は理解してるが、なかなか動かせない」
メテオラ「仰る通りだと思う。しかし仮説に結論が出た時、あなた方に失える物が僅かでも残っているとは、私には到底……思えない」

強い否定の口調とその絶望的な内容に、静まり返る会議室。
メテオラ「これは力で対処出来る問題ではない。この世界の法則の外側で起きている段階で、観念的、そして形而上的な解決法すら求められる。理(ことわり)を超えると言うのは、そう言う事」
官僚「じゃあ、どうするのかね」
メテオラ「私は最初、『被造物』が干渉し合っている事について危機感を抱いていた。しかし、こうまで『被造物』が野放図に増えた現在、干渉してでも二次被害そのものを抑え、世界に対する影響を相対的に軽減する事の方が急務」
メテオラ「直接対峙が必要な時は、外部への影響を押さえる為に私達が対処する。あなた方は周辺情報の収集を。新たに現界した『被造物』たち、関連する創作者の捜索と保護」
メテオラ「また、清水公園で私とセレジアが対峙した『彼女』の捜索及び『彼女』を生んだ創作者の特定が急務。『彼女』が無理でも、その創作者はこの世界の人間。であれば細い糸でも、捜索の糸口は掴めるかも知れない」

少し考え込む様にして。
メテオラ「それと、対峙の際に住民へ動揺を起こさせない為の隠蔽工作を。柔軟に、繊細にやって欲しい」

官僚の一人が眉をしかめる。
官僚「難しいな。世間で言われてる程単純に隠蔽なんか出来ませんよ、メテオラさん。隠蔽が一旦明るみになると、関係機関への不信感にダイレクトに繋がるんです。そうすれば市民は増々、発表を信じなくなる」
メテオラ「理解している。ですが今回の事象は、怖がらせたり騒がれたりする事が、単に都合が悪いと言う話だけで終われない。この世界の人々の動揺は、そのまま世界の軛を揺さぶる事に直結する。周知されればされる程、『軋み』の反復度は大きくなって行く。水面の波紋の様に、地震波の様に」

ううむ、と唸る官僚。
メテオラ「もう一つ。私達がこの世界で行動する為に、身分の保証を」
菊地原「当会議の名前で、想像世界のお三方には在留外国人職員としての身分証を発給します」
メテオラ「感謝します」
セレジア「やれやれ、これで宿無し名無しからおさらばね」

菊地原、資料をまとめると。
菊地原「日本国の法律を尊守して頂く事と、公共に損害をもたらす事、そして我が国以外の大使館及び領事館への接触は禁止……細かい禁則事項はあとで文書にして配りますので、必ず目を通してサインを」

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