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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月14日

86/こんこん、と窓が叩かれる。はっとして、慌ててブラウザを切り替える颯太。

こちらの世界で買った私服のセレジアが窓から入って来る。
セレジア「そーうた、くーん」

画面には自作キャラの絵。

ふっと、様子のおかしい事に気付くセレジア。颯太の様子を見て不審そうに。
セレジア「……どうしたの? 顔色、悪いわよ」

颯太、額の汗を脱ぐって。
颯太「す、すみません……あの、集中してたんで、そ、それで、驚いちゃって……」
セレジア「そっか、ごめんね。めんどくさかったんで、上から直接お邪魔したんだけど、悪い事しちゃったわね」

颯太を脇にのけ、モニターを覗き込むセレジア。
セレジア「どれどれ、見せて」
颯太「あ、わ、やめて下さい!!」
セレジア「ふうん、これが君のキャラなのね」

動画フリーソフトのAviUtl(エーブイアイユーティル)画面に映る、オリジナルっぽい女の子の動画。製作途中。
セレジア「へえ。あなたもやっぱり、神様ってわけか。感心、感心」

ふふ、と笑うセレジア。
颯太「でも、その……あんまり……人気ないみたいで……」

セレジア、ふふ、と笑って。
セレジア「うーん、例えばさ」
セレジア「人に気に入られようと行動するのは、悪い事じゃないわ。でも、それだけじゃ、多分誰も貴方と仲良くなってくれないんじゃないの?」
セレジア「貴方がどんなひとなのか。何を考えて、どう生きているつもりなのか。そこが一番、大事なんじゃないかしら」
颯太「そうかも、知れませんけど……」
セレジア「描いてるものに託してあげればいいのよ、あなたが信じてる事を。メテオラも言ってたでしょ、犀の角の様に、とかなんとか」

ぽんと肩を叩いて励ますセレジア。
セレジア「大丈夫よ、松原みたいな、あーんなだらしないおっさんでも出来てるんだから。キミに出来ないわけないわ。ね?」

画面に映るパッとしないキャラ。

同じ画面上、少しだけ見えている後ろのウィンドウにはアルタイルの文字と、軍服の少女のイラストが映る。


87/セレジア「あ、そうだ」

と思いついた様に言うセレジア。
セレジア「一応現状報告しておかないとね。──残念だけど、他の『被造物』に関しては、全然手がかりが掴めないわ」
セレジア「とりあえずメテオラはあの菊地原さん? だっけ。あの人と組んで、今は『被造物』の捜索をやってる。あの、弥勒寺とかいう能天気なバカとか、魔法少女とか、例の『軍服の彼女』も」

キーワードを聞いて、顔が強ばる颯太。背中を汗が伝う。
セレジア「野放しにしてると、何するか解らないでしょ? だもんでね、誰かが新しくこっちに来た場合、あの『軍服』に取り込まれるより先に、なんとか説得して大人しくしてて貰おうっていうのが、とりあえずの作戦ってわけ」
颯太「場所が……分かるんですか?」
セレジア「ほら、菊地原さんが言ってたでしょ。『現界』する時には必ず、その場所の磁気だの空電だのが乱れるって。それを向こうでずっと観測してて、異常が出たらすぐに知らせてくれるって」

スマホを取り出す。
セレジア「彼女に貰ったわ。この世界のデバイスは、使い易いのね。結構好きよ、これ」
颯太「スマホだ。ひょっとして、みんな持ってるんですか?」
セレジア「もってるわよー。あ、そうだ、番号交換しようよ」

ぽちぽちと番号交換しながら。
颯太「今、メテオラさんは?」
セレジア「一件、磁場変動が観測されたって。だから今、菊地原さんと一緒に向かってる」
颯太「鹿屋くんは、どうしてるんです?」
セレジア「行きなさいって言ってたんだけどね、『今までの分を取り返すまで遊び倒さないと嫌だ』って大騒ぎしてね、もう何言っても聞く耳持たなくて。しょうがないから、今んところ好きにさせてるけど」


88/町中を珍しそうに歩く鹿屋。まるでオノボリサンの様に目を輝かせてる。手にはクレープとアイス。


セレジア「まあ、ストレスも貯まってそうだし、羽を伸ばさせてやった方がいいんじゃないかしら、ってメテオラも言ってたからね。それにギガスマキナがなきゃ、あの子も無茶しないでしょ」
セレジア「─―あと、監視もちゃんと付いてるし」

鹿屋が通り過ぎた横に停まっている乗用車。誰かと交信する。


89/颯太「メテオラさんだけで、大丈夫ですか」


セレジア「問題あったら、すぐ行くわよ。飛んで行けば、早いし」
颯太「え? そういう事、しちゃいけないって──」
セレジア「電車乗ってバス乗って、結局向こうが力を使って大暴れしたら、そっちの方が問題でしょ。大丈夫大丈夫、バレないようにささっと行くから」

呆れる颯太。

セレジア、わずかに真剣な顔に戻り。
セレジア「でも、急ぐに越したことはないわ。私たちが『被造物』への『勘』が働くのと同じ様に、向こうも感づいてる筈だから」


89.1/そろそろ終電の終わる頃、繁華街から少し外れたところにある高架下。

タクシーが客を降ろす。
運転手「二千五百四十円になります……はい、確かに! はい、レシート」
客「あー、いらない」

ハザードランプが点滅しているタクシーから降りるほろ酔いの客。
運転手「あ、はい、じゃあお忘れ物のほう、ございませんよう……」

ギアを入れ、滑り出すタクシー。ふと脇を見ると高架の脇にある小さな児童公園の入り口に、馬が繋がれている。

タクシー運転手はそのまま車を走らすが、ぼそりと独り言を漏らす。
運転手「……今の、馬、だったよな」

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