週刊少年サンデー、サンデーGX、ゲッサンが協力する小学館の無料漫画サイト!

レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月16日

90/足取りも軽く歩いている女性。鼻歌まじりで愉しそうな雰囲気。

色白でするりとした容姿。釣り目気味の目が笑っている。黒い喪服の様な女子校の制服。五芒星に似た神秘の目の紋章を付けた黒い革手袋が妙に目立つ。首から下げた金色の鉱石が黒地の制服に映えて人目を引く。

創作世界の住人、築城院真鍳(ちくじょういんまがね)だ。
真鍳「うんうん。なんだか解らないけど、まあ、いいや」
真鍳「日本だろうし。いや、私の知ってる日本じゃなさそうなんだけど、それでもお金は使えるし。それに、言葉も通じるし」
真鍳「ならなら、一事が万事快調」

書店に入る。オカルト系の本をぱらぱら捲る。
真鍳「うん、好し好し。こういうのは好し」

うっふっふ、と笑う真鍳。


91/明らかにこの世界の人間ではない。

複数の本を抱えて、店から金を払わずに出て行こうとする。
書店の店主「あのお客さん」
真鍳「はいー。なにか」
書店の店主「あの、その本のお代を」
真鍳「これ、私の本だよ」
書店の店主「何言ってんの、万引きだよ」
真鍳「じゃあさー。この本、私の物だって証明、すればいいのかな?」

目が鋭く笑う。
真鍳「この本の百九十六ージ目に、ペンで書いた注釈が入ってるよー。私、書く物持ってないよね?」

手をひらひらと振る真鍳。
書店の店主「嘘だね」

にこにことしながら真鍳が促す。

開くと確かに、きもい丸文字でイラスト入りの注釈が。アンダーラインを引いてある。

『ほんやのおじさんに おそいかかるものわ これ』

そのページに描かれている解説と、怪物の絵(ティンダロスの猟犬)に丸がついている。

書店の店主、嫌な顔をしながら。
書店の店主「いつの間に書いたんだ、こんなもの」
真鍳「おじさん、ねえねえ、なんて書いてあるのかな?」
書店の店主「こんなつまらない事書いて、警察に電話するぞ」
真鍳「そこに書いてある事」「うそだと、思う?」

細い目が銀貨の様に光る。

――書店の店主、少しぞっとしながら。
「嘘に決まってるだろ、馬鹿馬鹿しい!」

真鍳の口が、切れ込んだ裂け目の様に笑う。
真鍳「嘘に乗ってくれてありがとうおじさん。私の手妻(てづま)は、ちょっぴり仕掛けがめんどうなのでね、うっきっき」

雰囲気が変わった事に気付く店主。店主の顔をいたずらっぽく眺めやる真鍳。

小粋に指をスナップさせながら呟く真鍳。
真鍳「嘘の嘘──それは、くるりと、裏返る」

天井の隅からぬるりと出て来る黒く禍々しい猟犬。

書店から出て来る真鍳。

書店の中ではものの倒れる音と悲鳴、怪物の咆哮。
真鍳「あ、手提げ袋欲しいや」

もう一度振り返り、血飛沫の飛ぶ店内から、手提げ袋をびっ、と切り取る。


92/菊地原「所轄へ連絡して現場を封鎖。それと、『不発弾処理』の名目で周辺住民の避難準備を……はい」

惨劇の舞台となった書店。非常線が張られている。

メテオラ、不快感を露にする。
菊地原「書店から最後に出て来たのは、女子生徒みたいです。どこの学校かは分からないですが、ちょっと変わった格好をしていたと」

メテオラ、首を傾げて菊地原を見る。情報を促している。

菊地原、手元のパッドを見る。
菊地原「……黒ずくめのセーラー服、黒い皮の手袋。しめ縄のような飾り。目撃者の話によると、なにかのマンガの仮装のようだったと」
メテオラ「『被造物』で、間違いない。あの『弥勒寺』という木刀使いと同じ雰囲気を感じる。敵役か、それに類するキャラクターでしょう」
菊地原「誰なんでしょう」
メテオラ「分からない。しかし探索を初めて最初からこれでは……先が思いやられる」

携帯を取り出す。

毎日0時更新です