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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月20日

97/アリステリア「仔細あってそこの屑に用がある。退け」
セレジア「どんな者であろうと、あなたに暴れられるのは困るのよ。それに、あなたは彼女を誅すべき立場にいない」
アリステリア「其奴は害毒そのものだ。放っておけば、辺り一面に死を蒔くだろう」
セレジア「そこは同意するけど、目下一番死を振りまく者はあんたのボスよ」
アリステリア「話しても無駄か」

まみかもそこに降り立つ。「アリスちゃん、それにセレジアさん、やめて!」

手を握りしめて。
まみか「私は」

覚悟を決めた様に。
まみか「私はあれから考えてた。本当に、『軍服の姫君』が言ってる事が、正しいのかって。あなた達の言ってる事が正しいのかって。答えが出ないよ。わたしにはこの世界は、あんまりにも大き過ぎるから。でも──」
まみか「──でも、これだけは言える、私達、戦い合う必要なんて、どこにもない!」

横に凪がれる聖槍。高架が音を立てて崩れ落ちる。

はっとして後じさるまみか。

アリステリア、眦(まなじり)をセレジアに向けたまま。
アリステリア「『軍服の姫君』は言った。世界の軛を危うくすることは即ち、私たちの世界の土台をも揺らがせる。それ故、拘束を解かれた神の力は本物の奇跡となって成就すると」

苦い表情を浮かべ。
アリステリア「私の世界は余りにも凄惨に過ぎた。あまりにも永きに渡り多くの血が流され続けた。屍は大山となり、鮮血は大河になって滔々と流れ、留まる所を知らなかった。それが誰かの戯れに創造された世界であろうとも、民草の苦しみは……本物だった。──本物……な、筈だ」

歯を噛み締める。自分の言った事に疑念が混じり、それを振り払おうとしているようなアリステリア。
アリステリア「我が世界を救う至近の路が目の前に拓け、掴まぬは愚の極み。妨げるつもりであれば、容赦せぬ」

まみかが泣きそうな顔でアリステリアを見つめる。
まみか「アリスちゃん」

噛み締める様に。追いつめられた様な声で。
アリステリア「世界は必ずや変革出来る。そうでなければ───我等は報われぬ!」

いななきとともに疾走する白馬、大槍を構えたアリステリアがセレジアに向かって疾駆する。

バトル。河原が戦場と化す。一薙ぎが衝撃波となって穴を穿つ。
アリステリア「よく一撃を凌いだな」

切り掛かるセレジア。馬の上でそれを防ぐ。
アリステリア「我が篭手の力、見せてやろう」

おおおお、と篭手に気合いを込めるアリステリア。風が渦巻く。
アリステリア「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン! 我が篭手の召還に応じ、迅雷の狩人(ユンター・フォン・ドナシュラック)よ、ここへ顕現せよッ!!


電光が迸り、それは雷球となってセレジアを撃つ。

鉄道橋の橋梁を二つ程ぶち抜き、水面を飛び石の様に跳ねて、反対側の川岸へ飛ばされるセレジア。
まみか「やめて! 二人とも!!



まみか「私達はみんな、同じような所から来たんじゃない!! どうして、戦わなきゃいけないの?」

中年男の足が新たな吸い殻を踏みつぶす。姿は暗がりに隠れてまだ見えない。
中年男「お互いに話をする気がないからさ、お嬢ちゃん」

新たな煙草に火をつけながら、気のなさそうにマッチを振って火を消す。
中年男「ところで。君のマジカル・スプラッシュ・フレアーを最大効力で放てば、多分二人とも止める事が出来るが。どうしてそうしないかね?」

まみか、泣きそうな顔で。
まみか「私の力は、誰かを傷つけるためにあるわけじゃない……でも、ここではマジカル・スプラッシュ・フレアーは、人に怪我をさせて、うっかり殺してしまう程の力を持ってる」
まみか「間違ってない人を押しとどめるために、私はそんな危険な力を……使う……訳には……


まみかの声が小さくなり、迷いが滲む。
――中年男、静かな口調で。
中年男「では、傍観したまえ。あれは愚かの極みだが、そういう手段でなければ腑に落とせない者もいる」
中年男「『軍服の姫君』の様にな」

まみか、唇を噛み締めて戦いを見つめる。

逡巡して。唇を強く噛み締め。泣き顔は影を潜め、「ヒロイン」としての彼女の表情が取って代わる。
まみか「でも、」
まみか「それだって間違ってる……多分、間違ってるよね?」

立ち上がり、中年男に振り向く。
まみか「止めなきゃならない……こんな事を黙って見ている私は」

真剣な表情。
まみか「私の世界に戻ったとき、友達みんなに──恥ずかしくて会えなくなっちゃうから」

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