週刊少年サンデー、サンデーGX、ゲッサンが協力する小学館の無料漫画サイト!

レクリエイターズ ネイキッド

6 june

6月14日

135/一人空中回廊に残される颯太。

ため息を吐いて買っていたコーヒーを啜る。

と。
メイド「メイド喫茶、『うぉーみんぐはーと』でえーっす。どうです? おにいさん!」

目の前にチラシの束をひらひらと振られる。
颯太「あ、いや、今は──


メイド「今は、メテオラちゃんとデートですよねええ。なあんだ、サービスしちゃおうと、思ってたのになあ?」

はっ、と顔を見る颯太。

そこに立っているのは白黒のメイド服を来た女だ。その笑みに既視感がある。
颯太「……ちくじょう、いん……」

驚愕の表情で真鍳を眺める颯太。
真鍳「ベスト! アンサー! そっのっとっおっりっ!」

キラーン! とウインクして手でポーズを取る真鍳。
真鍳「ミラクルメイドと化したっ! ちくじょーいん! まっがっねっちゃんっ! でえーーすうっ! ぴーす、いえーい!」

少し止まる空間。
真鍳「ま、それはいいとしてなのだ」

にやにやと笑って颯太の隣に立つ真鍳。
真鍳「流石の私もびっくり仰天。あんな綺麗事のだだ漏れオンパレード、初めて聞いたよー。舐め回したっていいくらいのピッカピカの綺麗事! そんなにうまくいかないから、人生は重い荷物をしょって、なんだっけか? 人生毒ありゃ苦もあるさ、だっけ? そういう事になるわけでしょー。そう思わないソウタくん?」

びり、とチラシを千切る真鍳。
颯太「なんで、僕の名前を」
真鍳「このマガネちゃんは、なんでもかんでもお見通しなのですう、うっふっふ」

と言った後、颯太の様子を伺った真鍳はにこりと笑って。
真鍳「なんちゃって。さっきメテオラちゃんが言ってたじゃん? キミの名前。注意深く聞いてれば、すぐ解っちゃうよー」

くるり、と身体を回して仰々しく颯太の横に肘を掛けると。
真鍳「やああ、それにしたって、清く正しく美しく! 綺麗な物語ってのはいいよねえー、なーんかフワッフワしてて、責任感とかカケラもなくってさあ。でもキミは」

わざと目の前でびり、と更に細かくチラシを千切る真鍳。
真鍳「そーゆう『モノガタリの主人公じゃない』もんね。そーんなオハナシ、綺麗に行くと思う? こーんなぐっちゃぐちゃの、なんでもありの、闇鍋みたいな世界でさあ」

びりびり、と更に執拗に細かくチラシを千切り続ける真鍳。
真鍳「ま、そんな事はどうでもよいのだね。でも、面白かったな。きみはなんだかむにゃむにゃと言葉を濁してたけどさあ。あれ、誤摩化せてると思ったかな?」

颯太の額を汗が流れる。びくん、と跳ね上がる颯太の瞳。
颯太「何……言ってるの」
真鍳「またまたまたあ」

耳に息がかかる程近づく真鍳。切れ目の瞼から瞳が愉しげに覗く。

知らない人から見ればまるで恋人同士の様だ。
真鍳「どーしても隠したい事、のハナシだよう。隠さないと、君の傷に触れる事。どろっどろの傷口の、その傷にさあ。痛いよねえ、そう言う傷は? 痛いの、やだよねえええ?うっふっふう」

ますます嬉しそうな真鍳の表情。
真鍳「当ててみせよっかな。そうねえ。たとえば、キミの言ってた相手さあ」

びりっと、また破る真鍳の手。もはや紙吹雪の様に細かく千切られたチラシの束。
真鍳「その人、今はどこで、なにをしてるのかなあ?」

そこで言葉を切ると、颯太の反応を伺う様に薄笑いを浮かべて覗き込む。
真鍳「ひょっとして、いまはもう……どこにもいなかったり、してね?」

瞳孔が開く。パニックが颯太を襲う。真鍳の顔を見る。真鍳もにいいいいいいいっと、口を割けた水瓜の様に開いて笑う。

颯太は過呼吸の様になって真鍳を見る。真鍳は心底嬉しそうに、ばらばらっと持っている

チラシの束を風に飛ばす。それは風に乗り、紙吹雪の様に美しく舞う。

その様子を見て口元を緩ませる真鍳。
真鍳「なんで解るの? って顔してるねえ? 私そーゆうアホみたいな顔見るの、大好きなんだなあ、んん、幸せ感じるよお、うっふっふ!」

颯太の憔悴を見て取ると、真鍳は満足した様に頷く。
真鍳「まあ……安心してよ、ソウタきゅん。このマガネちゃんはさあ、人聞きの悪い事なんて、ビタ一文、話すつもりはないのだね。だから一事が万事快調。信じて信じて!」

目を細めて、舐める様に颯太を見やる真鍳。
真鍳「というか──」
真鍳「信じるしかないよね?」

颯太、どうしたらいいか解らずに、ただ立ちすくんでいる。真鍳、ひらりとスカートを翻すと。
真鍳「お、そうだそうだ! ソウタきゅん、お近づきの印にさ、今度マガネちゃんとラブラブおデートしよっか! ん、こーれはナイスアイディア!」

気安い感じで颯太の肩を叩きながら。
真鍳「とりあえずは電話番号教えとくからさあ。うーんと、今日の夜でも会おうよ! よしよし、善は急げ! だし!」

残っていたチラシを取り出し、安っぽい三色ボールペンをかちりと鳴らすと、さらさらっと番号を書き付け颯太に渡す。

メテオラがUDXの側から上がってくるのを見て取る真鍳。震える颯太を横目で見て。
真鍳「じゃそろそろ、マガネちゃんは退散しますかね。ぐっばいあでぃおす、そんじゃーねえ!」

にこやかに微笑む真鍳。しかし目は笑ってない。

去って行く真鍳と入れ替わりにやって来る一行。

松原、セレジア、鹿屋と弥勒寺。そしてメテオラ。
松原「颯太君、どうした?」

青い顔をして立ち尽くす颯太。弥勒寺が何事かを感じて、じっと颯太を見やる。

毎日0時更新です