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レクリエイターズ ネイキッド

8 august

8月10日

8月10日

   

213/CICを見下ろす張り出し台に設えられた魔術装置、その中央に立つメテオラ。

メテオラはモニターに映るステージの光の奔流にてらされ、見下ろしている。

開幕と同時にサイリウムの波が、おおおおと振られる。声に合わせて一斉に、呼吸をする様に動く。

それはメテオラの立つ場所から見ると、まるで──夜空に散る稲妻の様に、放電現象の様に広がり、弾ける。

メテオラは息を呑む。
メテオラ「これだ」
メテオラ「この世界の──創造の源は。これは人の脳。シナプスが紡ぐ、思考の放電回路」


歓声に消されそうな程の小さな声で、メテオラは呟く。
メテオラ「美しい」


214/菊地原「用意はいいですか、メテオラさん」

頷くメテオラ。
メテオラが「万理の書」を片手に、静かに呪文を唱える。
メテオラ「『黒化(ニグレド)』から『白化(アルペド)』へ。その端境は灰となる」
メテオラ「グラン・グリモワールの祝詞、星辰の共鳴を導き賜え。しかして幽玄と黎明の境は光明を齎(もたら)さん」

都内の幾つかに設置した、ポールの様な小さな機械が唸りを上げる。紅や青、紫の魔術的な灯火が光る。そこは警察のパトカーで警備され、自衛官が起動に支障がないよう入念にチェックされている。
通りすがり「それ、なんすか?」
警官A「あーこれ、ガス管調べる装置。はい、車両通るからちょっとどいて」

それを確認した自衛官から連絡が入る。
自衛官A「支点カツシカ6、起動を確認」
自衛官B「支点コマエ4、起動確認」
自衛官C「支点コイワ9、起動確認」
自衛官D「支点ワカス8、起動確認」
士官A「グリモワール61から89までの点灯確認。起動支点の動作を確認」

モニターに映り込んでいく光点、そして魔法陣の形成。

菊地原の眼鏡に、モニターの光が反射する。
士官A「『鳥籠』形成の準備完了」
菊地原「人員はそのまま。状況は逐一モニタリングする様」
士官A「了解」
菊地原、メテオラを振り向いて。
菊地原「シナリオ通りに推移しています」

メテオラは静かに頷く。
メテオラ「創作者達の仕事は、完璧でした。『鳥籠』のペンタグラムが正しく生成されたのも、ここまで累積した『承認力』の賜物」

指を掲げて再び、魔導書をなぞる。
メテオラ「──次は」
メテオラ「『餌』を撒く。アルタイルは『被造物』の現界を促したけれど──衝突した世界から、どう『被造物』が現界するのかは彼女にも読めない」
メテオラ「それを餌にする」

再び呪文を唱えるメテオラ。
メテオラ「森羅万象の軛を我もまた走り逝く。そしてヘプタメロンの日を跨ぎ、塵はまた、再び巨木へ立ち戻る」

モニターに配置された地図上の一点、魔法陣の中央部分に磁気異常が起き始める。 士官B「磁界変動が観測されました。54SUE88234823、晴海―中央通り交差点、誤差なし。『一〇五号事案対策要綱』に基づいた周辺の交通規制、避難状況は想定範疇。図演通りです」

菊地原がヘッドカムに向かって言葉を発する。
菊地原「セレジアさん、皆さん」

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