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9 september

9月2日

9月2日

   

288/セレジア機とカロン機、激しい剣と魔法弾の応酬。
カロン「無駄だ! お前では──俺に追いつけない! お前は優秀な騎士だが、力は一つ、及ばない!」
セレジア「そう、届かないあなたの背中を─―」
セレジア「こうやって、追い続けて来たの。それは......楽しい日々だったわ」

鍔迫り合いをする両機。
カロン「俺もだ。日々成長していくお前を見るのは、俺の喜びでもあった。あの美しいアースメリアに還ろう、セレジア」

セレジア、首を振って。
セレジア「あなたは──いっつもそうやって真っすぐで。意固地なくらい」

打ち合いは続く。機体がきしみ、火花を散らして剣戟が始まっては、また離れる。
カロン「セレジア」

囁く様に、遺言の様に呟くセレジア。
セレジア「だけどね、私はあなたのそういう所が、好きだったのよ。あなたは......気付かなかったみたいだけど。本当に、好きだった」

セレジア機、カロン機と機体が接触する度にどこかを破損し、半壊状態になっていく。
セレジア「これが最後。カロン、彼女の言う事は全て出鱈目。何もかもが無になって終わるだけ。この世界も、私達のアースメリアも」

その言葉を受けて、カロンは腹を括った様に言葉を絞り出す。
カロン「俺は」
カロン「俺は......必ず、あの世界を救う。救ってみせる......その為に......」

目を伏せ、苦渋に満ちた表情を浮かべ。
カロン「こんな事になろうとは、思っても見なかった......世界を救う最後の障壁が、まさか、お前だったとは」

急加速してセレジア機に肉薄するカロン機。

セレジア、達観と、寂漠と、そして悲しみに満ちた表情で空を仰ぎ、何かをこらえる。
セレジア「ええ、酷い物語だわ」

刀の切っ先がセレジア機を捕らえる。セレジア機の腹に、刀がめり込む。その刹那、セレジアが波動詠唱を絶叫する。
セレジア「詠唱!! 『刻限氷結(クリュスタロス・クロノス)』!」

驚くカロン。
カロン「何をしているセレジア! この距離では、お前も術の影響下に入るぞ!」

詠唱が発動し、両者の動きが止まる。青く冷たいスパークが両者の機体から迸る。

刀を抜こうと試みるが、波動詠唱で時を固着させられているために抜けない。焦るカロン。


289/セレジア「鹿屋ッ!」

鹿屋のヘッドカムにセレジアの声が響く。
セレジア「そこからリフレクターフィールドを全力展開して!! そうすれば、質量の軽いフォーゲルシュバリエを押しつぶす事が出来る!」

鹿屋、その提案を聞いてギョッとする。
鹿屋「何言ってるんだ、セレジア、君は......」
セレジア「長くは持たないの、お願い、鹿屋」
鹿屋「駄目だ! そんなこと出来ない!!」
セレジア「私じゃ、カロンに勝てない。あなたのギガスマキナでも。でも、これなら......アルタイルの最後の盾は消滅する」

カロン、セレジアの機体を振りほどこうとするが、機体は術式に絡めとられている。
カロン「離せ! セレジア!!!」

鹿屋がセレジアに叫ぶ。
鹿屋「だって、セレジアは!」

セレジアは寂しそうに笑う。 セレジア「私の迷いが、あなたの......いいえ、メテオラや、みんなが築き上げて来たものを損なってしまった。アリステリアが命を賭けて挑んでくれた戦いを、私は無駄にしてしまった」
鹿屋「だからって!」

セレジア「鹿屋、私が選んだ、私の物語は、これなの」

CICの松原、真っすぐにモニターを見つめている。拳が堅く握られている。
セレジア「メテオラ」

CICの段上でモニターを見つめているメテオラ。
セレジア「......私は退場。やり遂げて」

メテオラ、ぐっと目を眼を瞑ると、もう一度目を開いてモニターのセレジアを見返す。

フォーゲルシュバリエの詠唱時間が限界に近づいている事を示す、色の変化が起きている。
鹿屋「セレジア、僕は諦めたくない!」
セレジア「やりなさい! あなただって、『主人公』でしょう!!」

鹿屋、苦渋と無力な自分への怒りを滾らせる。
鹿屋「くっそおおおおおおお!!!」

鹿屋、歯を軋らせながら、リフレクターフィールドの展開ゲージを上げていく。

松原は目を見開き、セレジアに叫ぶ。
松原「......逃げろ、セレジア! もういい! 『ヒロイン』も『物語』も、やめちまえ!」
セレジア「......松原。私の世界に、お話とコーヒーを創ってあげて」

セレジア、困ったように笑う。
セレジア「お願いね」

リフレクターフィールドが最大出力で展開されると、押し流される様に瓦解する二機のフォーゲルシュバリエ。その機体は大爆発を起こし、空が紅蓮の火球に包まれる。

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