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9 september

9月5日

9月5日

   

300/熾烈な戦いを繰り広げる弥勒寺、翔、ブリッツはひかゆを後ろにして庇いながら応戦している。アルタイルは稲妻の様なステップで攻撃を避け、繰り出している。
アルタイル「そうだ。君達総てを含んで、この物語は回転する。普(あまね)く総ては物語の為に使役され、そして終幕を迎える!」

激しい剣戟。翔とバイヤール、弥勒寺と板額、四体の剣戟を総て一人で受け、踊る様に捌いていくアルタイル。
アルタイル「精勤したまえ、諸君。もっと、もっと、もっともっと、舞台を盛り上げろ。それをこそ、我が観客達はご所望だ!」

モニターに映るアルタイル。イベント会場の観客達。


301/銃を撃つブリッツ。何かが急接近して来る事に気付き、振り向く。
ブリッツ「翔! 弥勒寺! 注意しろ!!」

彗星の様に真っすぐにアルタイルに突き刺さる飛翔体。サーベルで薙ぎ、食い止めるアルタイル。アルタイル、眉を顰めてその相手を見る。
アルタイル「......」

対峙しているその顔は、そのままアルタイル、いや、『シロツメクサ』の亜種だ。

槍を振り払い、サーベルで突きかかるアルタイル。相手は身体をかわし、再び軽やかな身のこなしでアルタイルを払う。

弥勒寺、その姿に驚く。
弥勒寺「なんてこった、あいつらが作っていたのは、これか」

アルタイルの黒いコートと対象的な白い服装を身にまとった、アルタイルに瓜二つのキャラクター。


302/CIC、松原が画面を見て呟く。拳を握ったり、開いたりしているのが見て取れる。それは松原の緊張を表している。
松原「オリジナルじゃなく......猿真似になっちまったのは痛かったがな。この時間で用意出来るのは、これが精一杯だ」

八頭司が、緊張に顔を顰めながら松原に囁く。
八頭司「喋んないのが気になるな。やっぱりあいつ──......」
中乃鐘「......キャラの内面にまで、『承認力』が及んでないんだ。彼女の存在と実存だけは、辛うじて支えてるけど......そこが限界か......」

メテオラ、それを受けて。
メテオラ「それでも──現時点では、アルタイルと同様のスペックを持つ完璧な『鏡像』。それが彼女。彼女の後ろに──いや、私達の後ろに、もう道はない」
メテオラ「『シリウス』、アルタイルに滅却を」


303/白いアルタイル──『シリウス』は頷くと、再び槍を構える。

先程までの余裕の笑みは消え、まみかを屠った時のような、憎悪の目がアルタイルを覆っている。
アルタイル「ふざける、な」
アルタイル「この姿は愛しき朋友が......命の最後の煌めきに換え、創造した姿」

歯を食いしばった間から、蒸気の様な吐息を漏らして呻くアルタイル。
アルタイル「......浅薄にも余の似姿を創造し、それだけで......余に対抗出来ると思うか。......その芯まで模倣出来るとでも思っているのか」

顔つきが険しくなる。煮えたぎる怒りの表情だ。歯をばきばきと鳴らして睨みつける。
アルタイル「一度ならず死して尚、我が朋友を愚弄するのか。うん、宜しい。貴様らを許さぬ。塵の欠片まで余さず殺してやる」

アルタイルがおおお、と吠えると、サテライトのサーベル群が一気に数を増やす。それが扇風機の様に彼女を中心に回り始め、巨大な芝刈り機の様に唸りを上げる。

シリウスは無表情にそれを見遣ると、槍に手を伸ばす。その槍が折り畳まれた竿を延ばすように延びていく。
アルタイル「おおッ!」

シリウスが吶喊。サテライトサーベルが、何千もの矢の様にアルタイルを襲う。その全てを打ち払って粉砕し、真っすぐに中心にいるアルタイルを目指す。アルタイル、サーベルを抜いて対抗するが、切っ先が触れた瞬間、サーベルがブロックノイズを起こす。アルタイルのビジュアルそのものがバグを起こしたかの様に、電磁的混乱が起きる。

アルタイル、その様子を見て怒りに顔を歪める。
アルタイル「姿だけではなく──......貴様も『森羅万象(ホロプシコン)』を使うか......!」

交差し地面に降り立つアルタイル、ドラム式マシンガンを取り出しサーベルを当てる。低いヴァイオリンの音が響き渡り、衝撃波のような彩りが放射状に広がる。同時にシリウスも振り向き、SIGマシンガンを取り出すと槍を当て、同じ様に鳴らす。両者の力が拮抗するが、やがてシリウスの衝撃波がアルタイルのそれを凌駕し、押し流す。

弥勒寺、目を見張る。

共鳴が起こり、空が歪む。街の景観がブロックノイズ、モスキートノイズに乱れる。

オーロラ光の波がアルタイルのサテライトサーベルに当たると、当たった端から自壊し消えていく。アルタイルもまた、その光を身体に受けるとその像が大きく崩れてノイズに変わる。指先から肩から、まるで幾何学かキュビズムの模様の様に型を乱していく。
アルタイル「ぐうおおおおおおおッ!!」

アルタイルが苦悶の声をあげるが幾何学への変換は止まらない。

サーベルを揮おうとするアルタイル。しかしそのサーベルを振り終える前に、ブロックノイズが身体を飲み込み、周囲のアスファルトや建物も巻き込んで削りながら、その身体が光に包まれて飛散する。

その様子を静かに見つめるシリウス、そして『鳥籠』内の創作物の面々。


304/消し飛ぶ瞬間がイベントのスクリーンに映し出される。おお、と言うどよめきが上がる、イベント会場内。

ニコニコ動画でもその様子が流れている。
弾幕が驚愕を語る。「エエエエエエエエエエエエ/あっけねええええええ/まじかああああ/え? なに?/どんなオチだよ/俺のアルちんがひどいひどすぎる/ちょWWWWWWWWW/


305/CIC。菊地原がモニターをみやる。メテオラも微動だにせず、画面を見つめている。

轟々と土煙が舞う銀座・和光前のメインストリート。まだブロックノイズが瓦礫の型を歪めて瞬き、信号機も赤の点滅を静かに繰り返している。

と、突然モニターに鋭いホワイトノイズが入り、ラジオの混信の様な混雑音、そして砂嵐と画面の激しい乱れが起きる。

菊地原がぎょっとして叫ぶ。
菊地原「機器のチェックを!」
メテオラ「......故障じゃない。『鳥籠』内の世界そのものが、矛盾を立て直そうと再構築し直している」

菊地原、もう一度画面を見る。相変わらず画像は乱れているが、その中からバグの様なビジュアルが浮かび上がる。ゲーム機のカセットを無理矢理抜いた様な──そんなビットが立体的に激しく明滅しながら、何かの型を浮かび上がらせようとしている。

その輪郭が浮かび上がる。アルタイルだ。口元は水瓜の様に切れ込んだ笑みを浮かべている。


306/アルタイルの身体が、どんどんと再構成されていく。それは欠けたポリゴンに変わり、ドットで色分けされたタイルシェードへと変わり、また鉛筆で描かれたモノクロのラフ画に変わる。足を引きずりながら再び地を踏みしめるアルタイル。
アルタイル「......ああ。よくぞ」
アルタイル「よくぞ、ここまで、余をトレースした」

驚愕する『鳥籠』内、『被造物』の面々。
アルタイル「......流石は創作者達。ダテではないな。新たに創造された『被造物』が承認されるには、時間と労力が必要だが......この短期間で、拮抗するほどの『承認力』を得たんだね」

ほぼ、元の姿に戻っているアルタイル。じゃり、と歩を進める。

アルタイルはぎらぎらとした笑みを浮かべて、土煙の中から歩み出ると、倒壊したトラックの上へと跳び、ふわり、と立つ。
アルタイル「まったく──メテオラの『鳥籠』は賞賛すべき強固さだ。殻を破るにはまだ足りないが、このまま物語が尻すぼみに終わってしまうんじゃないかと、危惧していたんだよ。──お陰で一つ、活が入る」

にいいいいいいい、と笑う。それは勝利を確信した笑みだ。
アルタイル「実に、重畳(ちょうじょう)」


307/菊地原、眉を顰めて唇を噛み締める。メテオラ、眉を寄せて睨んでいる。
メテオラ「──流石だ、マツバラ殿。シリウスはアルタイルの実存係数に同調している。ここまでは」
松原「想定内だ、あの野郎」


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