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9 september

9月8日

9月8日

   

329/アルタイル、ふと笑って。
アルタイル「しかし──作劇としては上々だ、素晴らしかった。『承認力』がまるで、私の血の中で爆ぜる様だ」
アルタイル「さあ」

高速で唸りを上げ回転し始める剣の群。
アルタイル「大団円までは、まだ辿り着いていないぞ。揺籃(ようらん)を破るまで、まだ僅か刻限がある。素晴らしきフィナーレまでは付き合って頂かなくては。そうだろう、ブリッツ」

倒れ伏している弥勒寺と、それを抱えるひかゆの前で、ブリッツはアルタイルに銃を向け唸る。


330/翔が叫ぶ。「ふざけんじゃねえ」

弥勒寺を見遣る。その姿にまた怒りが募っていく。
翔「そんな見世物に黙って従えるかってんだよ、この糞女」
翔「バイヤーール!!」

騎士の姿が中空に焔の様に躍り出ると、辺り一面のガラスを総て砕き、その反射から攻撃を開始する。無数の剣戟。アルタイルもそれを見ると、空中に飛ぶ。上空のサテライトサーベルを空一杯に散らし、無差別に、まるで豪雨の様に降り注がせる。ジャンプする翔、無数のガラスから飛び出す
バイヤールの剣先を足場にして、空中のアルタイルに肉薄する。三節棍を振り上げる翔。
翔「おあああああああッ!!」

アルタイルも、その撃ち込みをサーベルの二振りで電撃の様に迎え撃つ。
アルタイル「無駄だ」

サーベルが三節棍をねじ切り、バイヤールにサーベルを突き立てる。バイヤールにノイズが走ると、バイヤールの姿が歪む。
翔「てめえ......まさか」
アルタイル「そうだ」

バイヤールのブレが更に酷くなり、最後には水晶の様に砕け散る。地面へと落下し、激突する翔。呻く翔。露払いをする様にサーベルを横に薙ぎ、静かに呟くアルタイル。
アルタイル「──森羅万象、第九番楽曲」
アルタイル「因果還元。設定は『ない』事になる」


331/CIC、士官Bが菊地原に振り向く。
士官B「磁界変動、再び観測! 54SUE88234823、中央通り」

こちらの世界、破壊されていない元のままの中央通り。封鎖された交差点、街灯にノイズが走り、一部のビルにゆがみやズレが起きる。
菊地原「『鳥籠』自体に軋みが? まさか......安定が失われかけている?」


332/廊下を歩く颯太。CICに入って来る颯太。
颯太「菊地原さん!」

振り向く菊地原、メテオラ。松原達も振り返る。
まりね「颯太君!」
颯太「発動して下さい。これが最後です」
菊地原「メテオラさん、あれは」

メテオラ、インジケーターに手を翳すが、顔色は良くない。
メテオラ「......実存確率は......僅かに存在している......でも、このキャラではとても『承認力』は得られない。現界出来るまでの『承認力』には達していない」

中乃鐘、済まなそうにいう。
中乃鐘「僕らの組んだ前日譚の中じゃ......隠し球には違いない。けど、このキャラの属性を考えると、ちょっとでも中心に近い所においてしまったら、それまで作って来た作品の流れを破壊してしまう。十分伏線を張れたシリウスとは違うんだ」
颯太「解ってます。そして何か特別な要素を付け加えたら、逆に現界しても意味が無くなる。そういうキャラでした。でも」

松原を見る颯太。松原も憔悴した表情を上げる。しかし絶望には、まだ遠い表情だ。
松原「そうだな。そう......だからこそ」
松原「現界すりゃ、面白いぞ」
八頭司「何言ってんだ、あんた。だから、現界出来ねえって──」

その言葉を遮る様に。
松原「少なくとも、物語の中でフォローはしたさ。卑怯な手だが、説明は十二分にしてる」
松原「メテオラ。どのみち俺達は失敗した。うまく行くのか行かないのか、とりあえず、やってみりゃいい。やってみて、それで駄目なら──」

大西が後を引き継ぐ。
大西「ま、わんわん泣いて、またネタ考えりゃいいでしょう。俺らはずっと、そうして飯食って来たんだし」
八頭司「世界が滅ぶんだぞ」

大西、いつものマイペースだが、真面目な笑いで。
大西「それはそれ」

まりね、頷いて。
まりね「颯太さん、作ったもの、見せて下さい。もしどうにもならなくても、何も変えられなくても──」
颯太、うん、と頷いて。
颯太「そこからは先はもう──他の人達が、決める事です」

ステージを見る。颯太の目は観客に向いている。

観客たちは皆スクリーンを見つめている。

頷くメテオラ。


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