週刊少年サンデー、サンデーGX、ゲッサンが協力する小学館の無料漫画サイト!

レクリエイターズ ネイキッド

4 april

4月25日

31/松原「出来た。まりねさん、ちょっと」

松原が首を回しながら言い、プリンターが動き出す。
まりね「あ、じゃあ見せて下さーい」ガサガサと見て。
まりね「あ、燃えますねー! アヴァロン・ブリゲードに捕まった街の子を助ける為にってシチュエーションですね!」

奥の食卓にある机に座り、シャーペンの芯をカチカチ言わせ。
まりね「じゃちょっと、机、借りますう」

そこからシャリシャリと早い手つきで描き始めるまりね。

まりね、脇目も振らずに描き続ける。ペンだけが動き続ける。
セレジア「なんか邪魔しちゃ行けない雰囲気ね」
メテオラ「フロー状態への移行がスムーズ」

颯太も真剣に見る。あこがれと羨望の目つき。
セレジア「随分、真剣に見てるのね?」

颯太、その言葉に気付きはっとなる。

まりねに視点を移す。どんどん絵が組み上がっていく。
セレジア「すごいわね、あっという間に絵になっていくわ」

颯太も感嘆しながら。「すごいですね」
颯太「あんなに描けたなら……いいなあ」

しかし、その輝く目が少し附し目がちに。セレジア、その表情の変化に気付く。

まりね、シャーペンをくるりと回し。「下絵終わりー。ドローソフトって入ってます?」
松原「えーと、これだけど。フリーソフトだけど、いいすか?」
まりね「あ、ぜんぜんオケでーす、じゃあ軽くですけど、塗りますね」

よいしょ、と松原の椅子に代わりに座り、持って来たペンタブを接続する。


32/ベランダに移動して外に立つセレジア、風が頬を撫でていく。
セレジア「夕日ね……この世界でも夕日は綺麗なのね。ソウタ君、こっちおいでよ」

呼ばれるままに立ち上がり、セレジアの横に立ってベランダに腕を掛ける颯太。
セレジア「キミ、いくつだっけ」
颯太「えと、十六歳です、けど」
セレジア「大丈夫よ。キミの前には、まだとても多くの時間があるわ。だから、すこしずつやりなさい」
颯太「え?」
セレジア「さっき、絵を描いてるって言ったでしょ」

夕日を見る颯太。
颯太「あの……」

静かな雰囲気に流されたのか、ふと疑問を素直に口にする颯太。
颯太「セレジアさんは……どうやっても追いつけなくて、届かなくて……セレジアさんも、そういうの、ありますか。操縦とか」

黙って聞いていたが、やがて肩をすくめるセレジア。
セレジア「私はね、焦るのをやめたの」

颯太、少し寂しそうに笑って。「セレジアさんは凄いな。僕は弱いから」
セレジア「ううん、そうじゃないわ。カロンに言われた」
セレジア「私はわたしであって、上手に出来る誰かじゃない。考え方も、生まれも、歩数も違う。同じ様に出来ないからって、焦る事はない。自分が一番よく出来る方法を考え抜くなら、それでいいって」
セレジア「私もね、フォーゲルシュバリエをうまく操れるまでは凄く時間が掛ったし、凄く焦ってた。いつまでも皆の足手まといは嫌だった。でも、それを教えてくれたのがカロンだった」

諭す様に笑うセレジア。
セレジア「勝負しなきゃいけない時はある。命をかけた優劣が生まれる瞬間は、確かにある。でもね颯太君、勘違いしちゃいけないのは、一から十まで、なんでも勝敗を着けなきゃいけない訳でもないって事よ」

真面目な顔をして。
セレジア「貴方が一生懸命やっている事を知ってるのは、貴方だけ。自分に嘘を吐いていないと自分自身に誓えるのなら、何を言われても気にしないでいい。最善を尽くしたなら、そこから先は、貴方の力じゃどうにもならなかった事。そんな事を悔やんでも、意味ないでしょ? だから、貴方の歩幅でやればいいの」

室内にいるメテオラ、松原の書庫から顔を上げずに、一人言の様に呟く。
メテオラ「……『犀の角の様に、只一人歩め』」

不意打ちに、少し呆気にとられるセレジア。やがて笑う。
セレジア「そうね、カロンもいつか、同じ事を言ってたわ」

苦笑して颯太に振り向き。「それは、『読んだ』か。本にもアニメにもなってるものね」
颯太「はい。……あのシーン、僕は好きです」
セレジア、にっこりと笑って。「やれるわよ。あなただって、ここの神様だもの」

流れる夕焼けの空。

毎日0時更新です