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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月23日

106/「彼はこちらで保護します」菊地原がそう言って振り向く。

合同庁舎の一室。

後ろに弥勒寺。無遠慮に大股を開いてソファに坐っている。
弥勒寺「保護、なんて言葉使うなや。幼稚園児か」

アイスを舐めながら。
弥勒寺「俺は自発的に来てやったんだ。こっちについてりゃあのヒゲ中年と、またやれそうだしよ」

メテオラ、声を潜めて菊地原に囁く。
メテオラ「私かセレジアのどちらかが、彼を見ていた方がいい。万一の事があればあなた方には対抗出来ない、自衛隊の──」

聞いてない様な素振りの弥勒寺だったが、振り返りもせずに言う。
弥勒寺「暴れたりしねーよ。人をなんだと思ってやがんだ。俺を飽きさせなきゃ、いいだけの話さ。なァ、めっちん」

メテオラ、鼻に皺を寄せてしかめる。
メテオラ「やめて。気安い呼び名は、好きではありません」

弥勒寺、へっへと笑うと、テレビに戻る。

その横ではひっきりなしにスナックを摘みながらテレビを見ている鹿屋。

その様子を見やったあと、メテオラに振り向く菊地原。
菊地原「彼女の正体は、解りましたか」
セレジア「颯太君に聞いたわ。『夜窓鬼録(やそうきろく)』ってラノベの「築城院真鍳」で間違いないって。五巻目の敵役で、『言霊使師(ことだまつかいし)』よ」
菊地原「どんな能力が?」
メテオラ「言霊使いの名の通り、彼女の武器はその弁舌。詐術と嘘を媒体にして、「言葉無限欺(コトノハムゲンノアザムキ)」という現実をねじ曲げる力を持っている」
菊地原「厄介ですね」
メテオラ「次の被害が出る前に彼女を捜さないと」
セレジア「そうね」

鹿屋、めまぐるしくテレビの番組を切り替えながら。
鹿屋「でもさ、その『軍服の彼女』の方にも味方しないつもりなんでしょ、そいつ。なら、放っておいてもいいんじゃないの」
弥勒寺「おい鹿屋、俺ぁその番組みてんだっつーの。替えんじゃねえよコラ」

セレジア、険しい顔で鹿屋に。
セレジア「なにもしないで遊び歩いてくれるだけならね。でもあいつは、冗談半分で、平気で人を殺すわ」


107/スナック菓子を口に放り込みながら、興味無さげに弥勒寺が言う。
弥勒寺「そのマガネって女を追うのが、次のゲームって訳か?」

スナックを齧りながら。
セレジア「なんか考えがあるの?」
弥勒寺「あー……なんつうか。俺たち悪役はへそ曲がりが多いだろ、そう『設定』されてるからなんだが。だったらよ、こっちに来て別の目的をめっける、つう事も織り込んで考えるべきなんじゃねえのかね」

菊地原とメテオラ、顔を見合わせる。
弥勒寺「俺も変わった」

隣の鹿屋を指差し。
弥勒寺「こいつは『悪役』じゃねえけども──こいつだって、変わったんだろ」
弥勒寺「もうちっと言えば……たぶん、変わった訳じゃねえ。多分、シナリオに縛られて表に出なかった設定が、制約をなくして広がり始めた、っつーとこじゃねーの。だからそのマガネって女も、今は目的を探してるんじゃねえかな、と思ってな」

鹿屋、心底感心した様に。
鹿屋「弥勒寺さん、あったまいいな」
弥勒寺「バッカおめえ、誰でも思いつくだろがよ」
セレジア「何、意気投合しちゃって」
鹿屋「だって、かっこいいじゃん、弥勒寺さん。僕もそんな感じの設定が良かったなー」

目を輝かせながら弥勒寺を見つめる鹿屋。
弥勒寺「そりゃまー、確かに俺は超かっこいいけどよ。でもおめえのギガスなんとかもクールだぜ? 今度乗っけてくれよ、あいつに。かっとばそうぜ、大空をよ!」
鹿屋「あ、いいなそれ!」

意気投合する二人、拳を突き合わす。

セレジア、呆れて。
セレジア「相手はあんなに強敵ぞろいで不安要素だらけなのに、こっちは能天気なおバカさんが二人増えただけ? 誰か助けてよ」

メテオラ、咳払いして。
メテオラ「ミロクジの言説には一理あります。ですが、それは却って事態を複雑にする」

菊地原、腕組みをして難しい顔で。
菊地原「彼女が変わるかも知れない。だが、それが必ずしも良い形であるとは限らない。そう言う事ですね?」
メテオラ「そう。彼女は原作で、主人公を陥れる事を主目的にしていた。しかしその目的を喪失して、この世界で見つける新たな目的が更に邪でない保証は、どこにもない」


108/メテオラうなづく。セレジアもうなづく。
セレジア「一度現界しちゃった後は、磁場とかなんとかで追う事とか出来ない訳?」
菊地原「駄目です。普通の人間と変わらない。特異能力を使うまで、尻尾が掴めません」

セレジア、ため息を付く。
メテオラ「私たち『被造物』同士は多少の『勘』が効くけれど」
メテオラ「距離と時間が開くほど、その感覚は薄れていってしまう。計測出来る別の手段を考える必要が、あるかもしれない」
セレジア「言ってもしょうがないわ。とにかく、次の行動に出られる前に見つけ出さないと」

弥勒寺、面倒くさそうにソファから立ち上がると。
弥勒寺「じゃあ、こっちから出向こうや」

セレジア、メテオラ、菊地原の目が弥勒寺に向く。

弥勒寺、背中をこきこきと鳴らし、伸びをしながら。
弥勒寺「あの手のタイプ、初めてじゃねーし。俺ら、同じような『作品』から来てっからよ、何となく解るんだ、ああいう奴の考える事」

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