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レクリエイターズ ネイキッド

7 july

7月26日

7月26日

   

187/回想。イベントの告知。六社合同、協賛数知れずの大アニメイベント。発表会当日、雑誌もネットも大いに湧き、上へ下への大騒ぎとなった。そもそも殆ど関係のない企業、スタジオ同士、しかもここ数年で最も人気のあったタイトルが一堂に会してのオリジナルストーリーを展開するとあっては、沸き立たない訳がない。勿論、政府(経済産業省)後援の上、突然振って湧いた様な脈絡のないイベントに不信感を持つものも散見されたものの、大筋ではそれを喜ぶ空気が大勢を占めた。なんといってもお祭り、なのだ。それを菊地原が思い出す。


188/メテオラ「もし『承認力』の誘導がうまく行っていない場合でも、この装置があり、時間の猶予が残されてさえいれば──方向の転換を測って勝率を上げる事が可能になる」

菊地原、ふと笑って。
菊地原「泣く子も黙る、魔術式アンケート集計装置ですものね」
メテオラ「それだけではない。集計の結果はそのまま燃焼力になる。ボイラーの圧力計と言った方が正しいかもしれない」

菊地原、装置を見遣ってから考えるように一言。
菊地原「――わたしには、未だによく分からないのですが。......『承認力』って、一体なんなのでしょう?」
メテオラ「納得、整合性、説得力を含有するけれど、反面それらすべてを覆して『良し』とする場合もある。一番妥当な言葉があるなら、それは『ともに受け入れる力』と形容すべきかもしれない。私も、力有りきで現象を受け止めている。あなた方と立場は同じ」


189/自衛官達がそれをオペレーションルームに搬入開始する。
自衛官A「二班、三班、作業かかれッ」
自衛官B「そっと動かせ」
自衛官C「電源は?」
自衛官D「あっちの蓄電池に繋げろ」

菊地原と並んで歩くメテオラ。
メテオラ「あれから私達の捜索は空振りばかり、それが心苦しくもある。とはいえ『被造物』の現界がないのは、不幸中の幸いと言えば幸いですが」
菊地原「磁界変動が確認されていない以上、一応安息の日は続いています。それなら、安息日の終了まで、やれる事を積んでいくだけです」

メテオラ、顔を上げて。
メテオラ「他作品も同時に進行している。『鳥籠』への伏線はどうでしょうか」
菊地原「現在総ての作品がまず『現実世界への門を開く』、次に『アルタイルを敵と認識する』、最後に『鳥籠へ誘導する』という流れで動いています。時間の猶予がないので出来うる限りの早足ですが、『承認力』が上がらなければ話になりません。そこは、創作者達の手腕を信じます」
メテオラ「『鳥籠』への伏線が開示された段階で、先制攻撃に打って出ます。主導権は常に握っておかねば、最後の関頭に後悔をする事になる」
菊地原「ええ。ですが──」

メテオラ、足を止める。
菊地原「『鳥籠』に入ってからの方策が安定していないと、会議では聞いています。各『被造物』の『承認力』を高める事は大前提だとしても、アルタイルの能力に太刀打ち出来るかどうか」
メテオラ「アルタイルのスペックに関しては、創作者達に周知されていますか?」
菊地原「ええ、現在把握出来ている情報までは、全て伝えてあります。とは言え、未だに彼女のN次創作は広がっています。定かではありませんが、ここまでの推論が事実であれば、その度に新しい能力が付加されていると思われます。恐らく、追いつく事は......」

菊地原が口惜しそうに呟く。
メテオラ「それが彼女の、最大の力。彼女はフィードバックという運動そのものを武器に設えた、恐るべき化物」
菊地原「とはいえ、何でも良いから対抗する能力というのは付加出来ません。そうなれば今度は、承認力が得られなくなりますから」
菊地原「ストーリーの全体構成を作成してるメインの創作者達──松原さん達ですが──なんとか『承認力』の得られそうな展開を模索しています。新たに作成を試す『被造物』も幾つか候補があって......あ、そうだ」

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