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レクリエイターズ ネイキッド

7 july

7月31日

7月31日

   

199/街路を走る『スバルBRZ』。
セレジアはステアリングを握りながら、ふと語りかける。
セレジア「最近は、どう?」
颯太「相変わらず、荷物運びとかお使いみたいな事、やってます。あ、でも......」
颯太「松原さんに言われて、キャラクターのプロットだけは詰めてます。出来るだけ細かくしろって言われたんで、それを」

セレジア、微笑んで。
セレジア「聞いたわ。参加させて貰えることになったんだってね」

少し照れる様にする颯太。
颯太「ええ。でも」

笑顔が再び決意の顔へ変わる。
颯太「ちょっと前までは、こういう事に加わるのが夢だったというか......加われればいいや、というか。漠然と、そんな感じでした。でも」
颯太「間違ってました。ここからが──......本当の始まりなんですよね」
セレジア「そうね、ここからがあなたの戦いの、本当の始まり」

セレジアは高速に乗る。
セレジア「大失敗するかも知れない。愚にも付かないものになるかも知れない。頑張ったのに、何の意味も無いまま終わるかも知れない」

颯太は黙って、フロントガラスに流れる光景を見つめている。オレンジの常夜灯が、音もなく流れて行く。
セレジア「──きみは」
セレジア「それでも、やる?」

僅かに口を閉じると、流れる水銀灯をその表情に照らされながら言う颯太。
颯太「はい」
颯太「世界とかじゃなくて、僕が決めた事の為に」

車は滑る様に道路を走って行く。ステアリングを静かに握っているセレジア。
セレジア「......サンシャインの時、松原が同じような事言ってたわ」
颯太「そうなんですか?」

ふふ、と笑うセレジア。
セレジア「自分が生きる証だって」
颯太「松原さんなら、そう言うかなって思います。駿河さんあたりだと、また違う事を言いそうですけど」

そう言って苦笑する颯太。
セレジア「そうね、神様もみんな、それぞれ」

セレジアは『スバルBRZ』のスピードを上げる。テールライトが河の様に流れて行く。車内は、不思議と静謐な空気に包まれている。
セレジア「貴方達は......、不思議ね。こんな、只の作り事に血道を上げて、でもその作り事が、まるで真実であるかの様に──喜ばずにはいられない」
颯太「それは、多分」

流れ行く水銀灯を見つめて、颯太は一人言の様に呟く。
颯太「僕たちが見ているこの世界に、もう一つ、違うレンズを被せてくれるからです」
颯太「ただ在るだけでも世界は賑やかだけれど、その上に違う彩りと光を添えてくれる。汚い色から綺麗な色まで、そのままじゃ、きっと気付けなかった色や光を──分け隔てなく見せてくれる。だから多分、嘘でも作り事でも、驚けるし......きっと、好きになるんです」
セレジア「言う様になったじゃない、颯太くん」

颯太は屈託なく笑う。
颯太「はい、恥ずかしい事言ってます。でももう、照れててもしょうがないなって思って」

セレジアもまた眉を上げて笑う。
セレジア「そうね。それも覚悟の、一つの形よ」

アクセルを吹かすセレジア。大人の女性の片鱗が口調に滲む。
セレジア「──どんなに辛くても、楽しんで荒野を踏みしめなさい。そうすれば」

笑うセレジア。目はまっすぐに、高速道路の先を見据えている。
セレジア「貴方の歩いた跡には、きっと、花が咲いてるわ」

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