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8 august

8月27日

8月27日

   

271/ギガスマキナの前にカロン機が立ちふさがる。距離を離す鹿屋とアリステリア。
セレジアが叫ぶ。
セレジア「カロン!」
カロン「セレジア。やっと、お前に逢えた」
カロン「お前がカルヴァリオ高原でいなくなってから、ずっとお前を捜してた」

カロンが真剣な顔でセレジアに語りかける。

カロン、アルタイルを見て。
カロン「全ての経緯は彼女から訊いた。俺たちの世界を護る為には、世界の軛を揺るがして、『造物主』の能力を使う事が重要だとな」

セレジア、首を振り。
セレジア「......カロン、違う......それは──」
カロン「俺たちのアースメリアを救える。あのひどい戦いに終止符を打てる。やり遂げて、一緒に帰ろう、セレジア」

ギガスマキナは再びカロン機と対決しようと動作を整える。
鹿屋「く、そっ......ッ!」

カロン機に粒子加速砲を向けるギガスマキナ。それに気付いたセレジア、フォーゲルシュバリエの魔法弾をギガスマキナに向けて発射する。
セレジア「駄目えッ!」

鹿屋、ギリギリの所で魔法弾をリフレクターフィールドで避ける鹿屋、しかしその隙をカロン機の剣戟に突かれて足場を崩す。
鹿屋「セレジア! 何するんだ!!」

カロン機と戦いながらセレジアの行動に驚き、非難の口調で責める鹿屋。
セレジア「鹿屋......それは、それだけは駄目......!」

その様子を見ている弥勒寺達一行。歯を噛み締める弥勒寺。
弥勒寺「バカ野郎、なにやってやがんだ!?」
翔「──あいつが探してたって言うの、あっちのロボットか」

翔がぼそりと呟く。振り向く弥勒寺。
弥勒寺「お前」
翔「──奴はカロンって名前だった。誰かを探してるって言ってた」

ひかゆが振り向き、苦しげな顔で言う。
ひかゆ「セレジアさんの......『精霊機想曲フォーゲルシュバリエ』の、主人公......!」

弥勒寺、歯噛みをして睨む。
弥勒寺「そういうことかよ......くそッ!」


272/メテオラ、眉を潜めて画面を睨んでいる。松原が手摺を掴んで叫ぶ。
松原「くそおッ! アルタイル、取り込んでやがったのか!!」

菊地原も険しい顔でモニターを見ている。
メテオラ「......『白亜翔』が現界した段階で、その可能性に気付くべきだった──『承認力』が増大している段階で、同じ作品から再び『被造物』が現界する可能性を...!」


272.1/大学のクラブ棟の一室。アニメ研究会。描きかけの同人原稿が置いてある。パソコンの画面に見入る部員。
一人の学生が、慌てながら部屋に入ってくる。
学生E「おまえ、おっせぇーよ」
学生F「わりわり、ちょっと押しちゃってさ。で今、どーなってる? セレジアが出てきたとこまでは知ってんだけど」
学生E「なんかカロンと揉めてる」
学生F「え? カロン出てきてんの!? 前振りなかったじゃん」

上着を脱ぎながらパソコンの前へと来る学生F。
学生F「で、え? なんで揉めてんだって?」
学生E「いや、今出てきたばっかなんで、よくわかんねえ」
女学生「アルタイル側についてるみたい」
学生F「なんで?」
女学生「これから説明されるんじゃない?」
学生D「メテオラが色んな作品から味方を召喚してるんだから、アルタイルも同じことできんだろ、たぶん。じゃなきゃバランス悪いし」
学生E「だったら別の世界から呼んでくりゃいいのに、同じ世界から呼び出すとか、底意地悪ぃ―な」
学生F「俺的にはさ」

学生F腕組みしながら。
学生F「そもそも二次創作だかなんだかわかんねぇアルタイルが、ゲルシュバ(フォーゲルシュバリエのこと)のキャラと同じ作品に出てくんのが許せねぇ」
女学生「えー、かっこいいじゃん」
学生F「かっこいいかあー? こんなんもろ厨二じゃん」
女学生「そこが良いのに」
学生F「え~。俺の妹もそこがいいって言ってんだよ。意味わかんねーよ」
学生E「それ言うならさあ、モノマギ(『無限神機モノマギア』のこと)のロボ混じんの、

正直おかしくね? このコラボ、もうちっと世界観そろえられなかったのかって話。なんでもありかよ」
学生D「でもデザイン違うもの同士のバトルシーンって、面白くね? ほら」

ボリュームを大きくする。


273/アルタイルの周囲に張り巡らされていたポリゴンの檻が消える。アルタイルがセレジアと鹿屋の戦いを見下ろす。

セレジアが必死な形相でカロンを庇い、カロンは鹿屋を攻撃して、鹿屋がそれに対抗する。

アルタイル、くすくすと笑う。その声は段々と大きくなり、それは哄笑となって響き渡る。アルタイルにあるまじき、狂気を孕んだ爆笑だ。
アルタイル「あ、あはは、あははははははははッ! はァァアアアアはははははははッ!」


狂った様なアルタイルの爆笑を睨む様に見つめるアリステリア。

アルタイルはのけぞる様に笑い、そして息を吸う。
アルタイル「──善哉(よきかな)。真に、善哉」
アルタイル「さて、これを見ている諸君。親愛なる観客の諸君。彼女らは同士討ちを始めたぞ。愛故か? 譲れぬ物の為か? 実に悲劇的だ。悲劇は魂を揺さぶる。それは焔の様に、熾火(おきび)のように美しい」
アルタイル「あらゆる作劇はいつも悲喜劇を求める。諸君等が何時の世もそれを望む限り」


アルタイル「余は君たちの求める物を与え、世界はそれと共に軋む。諸君らは彼らが迎えるべき結末を愉しみにして待つが良い。与え、其を舐め尽くすのが余の努め」
アルタイル「そう、これは物語であると同時に、──......諸君らもまた演目の中にいるのだ、我が兄弟達」


274/その言葉に憤怒の形相を浮かべて肉薄するアリステリア、アルタイルに迫る。
アリステリア「貴様ッ! 神にでもなったつもりかッ!」

切り掛かるアリステリア、神速の聖槍の攻撃を、現界させた一本のマスケット拳銃付きサーベルを切り合わせながらするりするり、と避けるアルタイル。

薄笑いを浮かべながら、必死のアリステリアの攻撃を躱す。アルタイル、こともなげに。


アルタイル「惜しい。惜しいなあ、今一歩であったが、詰めの詰めこそ肝心だ」

切り合いをしながら呟くアルタイル。
アルタイル「概念は良かった──流石はクンスト・ヴンダーカンマー至高の魔導師よ。カロン殿の現界が果たせねば、余の絵地図が今ひとつであれば、ここで物語は終局を迎えていただろうに──」

いかにも残念だ、という様に肩を竦めて笑う。それはある種の挑発だ。
アリステリア「......貴様。貴様は世界のあらゆる物を愚弄し果てている」

アルタイルは真面目な顔になると、騎士へと返答する。
アルタイル「騎士殿。愚弄なんかではないよ。私は──この世界にただ、銷魂(しょうこん)の念しか抱いていない」

表情が険しくなり、恨みと憎しみに暗く沈んでいく。
アルタイル「これだけ美しく雄大さに溢れていながら、遂に何一つとして、我が『造物主』へと齎(もたら)す事のなかったこの世界に、ただただ絶望しているだけだよ、騎士殿」

聖槍を再び弾いて距離を開けるアルタイル。
アルタイル「このまま戯れ合っていても、何も始まらないと思うが」

アルタイルは氷の様な笑みを浮かべる。嘲笑の混じる声でアリステリアに挑発をする。
アルタイル「では──君がもう少しやる気を出す為に、一つ話をして差し上げよう」
アルタイル「まみかを殺めたのは、その通り。確かに余の手になるものだ。どうだね?」

アリステリアは目を見張り、アルタイルを怒りの籠った目つきで睨む。
アリステリア「貴様」

その視線を意にも介さず、笑いながら続けるアルタイル。
アルタイル「彼女は私を救いたい、などと嘯いていたよ──結果その奢りを、自らの血で購う事になったがね。自分の腑(はらわた)を眺める段になっても尚、彼女はそんな事を言っていた」
アルタイル「愚かな子だ」

歯を軋らせながら、アルタイルを睨むアリステリア。
アルタイル「さあ、その仇──見事討ち留めて功名せよ。主人公たる『緋色のアリステリア』」

その挑発に目を閉じて、静かに語り出すアリステリア。
アリステリア「勿論だ」
アリステリア「私は最後まで見届ける為に──私が主人公たる為に」

CICの高良田の顔がカットイン。
アリステリア「まみかの信じる『アリステリア』でいる為に──」

篭手を掲げるアリステリア。渦を巻く様な曇天が巻き起こり、雲が対流する。
アリステリア「その為に!! ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン!! 我は最後の願いを成就せんが為──すべての精霊の力を持って奇跡を起こせ!!」

篭手が青く光り、聖なる槍がそれまでにない威力を持ってアルタイルに向かう。それをサーベルを振って受けるアルタイル。アルタイルの身体の中心を聖槍が貫く。

目を見張るアルタイル。接した二人を中心に、オーロラの様な極光が、核爆発の様に同心円状に衝撃波を飛ばす。
アルタイル「『森羅万象』第十四楽曲。それは因果の行方を変える」

聖なる槍が貫いた筈のアルタイルの腹部にするりと槍が通り抜け、代わってアリステリアの胴に風穴が空いている。がは、と血を吐くアリステリア。
アルタイル「うん、何が起きたのか教えてあげよう。私の身体に、確かに君の聖槍は突き刺さっている──このように」
アルタイル「だが、それに従う因果を変えた。結果私の腹部を貫いたこの結末はすり変わる。暦数を消され、ここから退場するのはどうやら、君の様だな?」

歯を剥いて笑うアルタイル。それは狼の様な獣の笑顔だ。
アルタイル「あははははは。ああ、ああ、実に無惨だ」

腹に開いた風穴から形が崩壊し、崩れていくアリステリア。しかしまだ闘志は喪っていないものの、もはや消失は免れない事も悟っている表情だ。
アリステリア「まだ......終わっておらぬぞ、アルタイル」

篭手に再び光が灯る。篭手を付けていない方の手がアルタイルの首を締め上げる。

アルタイル、笑みを消す。目を細めてアリステリア最後の抵抗を見る。
アリステリア「私を信じた者がいる限り......黄金の結末を信じる者がいる限り......」
アリステリア「物語は、終わらぬ」

篭手が光り、アルタイルの顔目掛けて振るわれる。小手の最後の力が迸り、紋章が浮かぶ。しかしその力はやはり逆転し、篭手は顔にヒットする瞬間逆流してアリステリアの姿を崩壊させていく。ざあ、と散っていくアリステリア。

独り言の様に呟くアルタイル。
アルタイル「......誠に主人公らしい、堂々たる最後だった。騎士たる本懐だ、アリステリア」
アルタイル「しかし残念だった──ここは、君の物語では、ない」

塵となり流れていくアリステリアを見ながら。
アルタイル「君はここでは──主人公などではなかったんだ。ただの、脇役だ」


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