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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月6日

59/松原「で、どうだったんだ」

メテオラ、笑う。
メテオラ「ゲームは、とても面白かった」

そう言ったメテオラは笑みを浮かべる。普段の静かで少し憂いを秘めた表情と打って変わった、夏の木漏れ日のような笑顔だ。

松原、颯太、毒気を抜かれた様に。
まりね「それだけ?」
メテオラ「それだけで十分。彼はとても繊細に、とても配慮深く、世界を作っていた。そこにある多くの者達の人生を、見えない所まで細やかに気配りしているのが感じられた」
メテオラ「私は多くの複製された『追憶のアヴァルケン』の中で、永劫の輪廻を繰り返す。そのゲームを遊ぶ人がいる限り、私は勇者にザルカザンの秘法を伝授し続けるだろう。滅びゆこうとする世界を救う為に、永遠に」
メテオラ「そして私は考えた。その永劫を知った今、私は私の世界と役割を受け入れられるか。その世界を創った者を受け入れられるか」

静かに笑みを浮かべながら言うメテオラ。
メテオラ「胸を張って言う。私は、受け入れられる」
メテオラ「私は自らの役割を永劫に努めよう。自分の世界を離れ、改めて観測者として自らの世界を俯瞰し、その価値があると、改めて確信する」
メテオラ「私の『造物主』が私に、いや、私の世界に託したものは、私が信ずるに能う価値があった。それが只の遊興であったとしても。込めたものは変わらない」
メテオラ「彼は確かに私の世界を愛していた。そしてその世界を外側から愉しむ者達も、同じく愛していた。ならば私は、彼の愛したものを守りたい」

メテオラの独白を聞いていたセレジアは、顔を上げて頷く。

メテオラ頷く。「この世界には、死者を復活させる様な秘技は存在しない。けれどその代わりに、想いは刻を、世界を超える。その想いを捕まえられたのなら、他はもう必要ない」
メテオラ「私は決めた。私の『造物主』がこの世界を愛していたのなら、私は世界を守る。それが『彼女』か、いや、他の何かの意図に囚われていたとしても──私の結論として、世界の衝突を防ぎ全てを斯くある所へ戻す」

決意に満ちた表情。
メテオラ「私が『追憶のアヴァルケン』で、滅びゆく世界を繋ぎ止めようとした様に」


60/セレジア、張りつめていたものが切れたかの様に一息つくと、コーヒーに口をつける。


セレジア「良かった」
セレジア「私があなたの勇者の代わりになれるかどうかは解らないけれど、出来る事はやるつもりよ。私は帰らなきゃいけないもの、カロンや皆が待ってるあの世界にね」

松原、素の顔で。
松原「そりゃ帰ってくれないと、俺、お前抜きの話を書かなきゃ行けなくなるからな。そんなめんどくさいの、俺は御免だし」

それを聞いたセレジア、ぐわーと吠える。
セレジア「ギャアー! せっかくいい感じにまとめたのに台無しじゃないのー!! 信じられない!」

くすくすと笑う残りの三人。

メテオラは笑いの後、居住まいを正して。
メテオラ「セレジア。貴女がいてこそ『彼女』に対抗する手段が生まれる。貴女が元の世界へ帰還出来る様、全力を尽くす」

メテオラ、颯太達に向き。「この世界の貴方達にも改めてお願いしたい、私は、最終的に貴方達『造物主』の助力が不可欠になると考えている」


61/メテオラ、買って来た新聞や雑誌をどさどさと机の上に広げる。幾つかの本には謎の人物、現象、飛行物体その他の報告が載っている。


メテオラ「今後の戦略を練りたい。世界の浸食は今も続いている。どこで飽和状態になるかは解らない」
松原「今の状態でも、チラホラやばい奴が出てきつつあるからな」
メテオラ「この世界と矛盾する能力を持ち、進んで力を使いたがる者が現界すればするだけ、世界の軋みは大きくなっていく。加速度的に、残された時間は失われていく」
セレジア「あの女が糸を引いてるって事以外、現界の法則は全然解らないわ。どうやって『被造物』を探し出すの?」
メテオラ「……現界した場所が近ければ、私たち特有の『勘』で探り出す事も出来るけれど、今は後手に回らざるを得ない」
メテオラ「でも、手をこまねいている訳には行かない。現界するパターンを掴み出す為にも、ここにある情報は必要」

額をつきあわせて覗き込む五人。


62/携帯の呼び出し音。

松原に電話がかかってくる。「はい」

アニメ脚本家の中乃鐘昌明(なかのがねまさあき)だ。
中乃鐘「もしもし、松原さん? 僕です、スタジオアーバンの中乃鐘です」
松原「あ、久しぶり。どうした?」
中乃鐘「久しぶりですこちらこそ。で、あの……あー……その、すいません、今時間あります? その……えーと……」
松原「いや、なんだかよくわかんないんだけど、どこらへんの話? 仕事系?」
中乃鐘「……そうといえば……そうかも知れない、というか……」

思い詰めた様な声が電話の向こうから響く。
中乃鐘「あの……ですね、その、えーと」
中乃鐘「頭おかしくなったとか、思わないで欲しいんですけど」
松原「お前の作品のキャラか」
中乃鐘「え?」
松原「誰が出たんだ。お前の所に来たのはどこの作品の、どのキャラだ?」

中乃鐘の声が、安堵で崩れる。「……良かった! もーどうしようかと思って! 僕、お薬必要な感じになってるんじゃないかと思ってええええ!!」
松原「解るわー、その感じ」
中乃鐘「松原さんも?」
松原「俺もその厄介事に巻き込まれてんだ、現在進行形で」
中乃鐘「マジですか」
松原「マジだよ」
中乃鐘「そっちは誰が──」
松原「それは後だ。お前の方は?」
中乃鐘「僕んとこのキャラです。というか、僕が脚本やった、って意味ですけど」
松原「お前が最近やったのって、おい、まさか──」
中乃鐘「そうです。『無限神機モノマギア』の……」
松原「主人公か」
中乃鐘「だけじゃないんです。あいつが乗ってるギガスマキナも」
松原驚く。ギガスマキナとは、ロボットアニメ『無限神機モノマギア』に登場する巨大ロボだ。
松原「はあ!? あんなもの、どこに!!」
中乃鐘「とりあえず彼に言って、僕の地元、あの、家の近所にある、雑木林に隠しました」
松原「彼は……鹿屋瑠偉(かのやるい)は、そこにいるのか?」
中乃鐘「僕の家で飯食ってます」

粛々とコンビニ飯を食っている鹿屋。

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