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レクリエイターズ ネイキッド

5 may

5月10日

71/反対側ではメテオラ、セレジア、鹿屋。
セレジア「どう思う?」
メテオラ「彼らはかなり早い段階で、世界に起きる異変に気付いていたのだと思う。そして、密かに調査を始めていたのでしょう」
メテオラ「世迷い言ではあっても、幾つかの有力な証拠が出てくれば頭を切り替える」
メテオラ「私達は見張られていた。恐らく強行策を取って来たのは、あれが原因」

メテオラは顔を上げて鹿屋を見る。

鹿屋、居住まい悪そうに。「僕を見ないでよ。知らないってば!」
メテオラ「巨大ロボットが現出した事で、静観してる状況ではないと踏んだ事は、想像に難くない」
セレジア「これからどうなるの」
メテオラ「まだ解らないけれど、余り心配する事はないと思う」
セレジア「連行されてるのよ」
メテオラ「彼らは私達の力を理解している。そして、この世界の者ではない事も。彼らが理知的であれば、まず対話から始めるでしょう」


72/夜。内閣府合同庁舎に到着する颯太一行を乗せたヘリ。

広い会議室に通される一行。

お茶を出されるがまんじりともしない。

やがてドアが開き、背広や制服がぞろぞろと入って来る。

目を白黒させる松原やその他のメンツ。
セレジア「なに、一体」

キョドる松原達を前に眼鏡、スーツ姿の女性が名刺を差し出す。
菊地原「初めまして。特別事態対策会議の、菊地原(きくちはら)と申します」

列席する官僚達を見やる菊地原。
菊地原「で、こちらが」
官僚「災害・防災担当主席審議官の、槙野です」
官僚「内閣危機管理室の勅使河原(てしがわら)事務官です」
官僚「防衛省、防衛書記官の佐竹(さたけ)です」
官僚「東部方面隊総監部の竹内(たけうち)陸将補です」
官僚「自衛隊統合幕僚監部、防衛計画部長の海鵬(かいほう)空将です」
官僚「警察庁長官官房の広田(ひろた)審議官です」
官僚「警視庁公安部、西上(にしがみ)です」

ずらずらと紹介される制服、背広の官僚達。

秘書のようなスーツ姿の女性が、全員着席の後に司会を始める。
菊地原「えー、では始めさせて頂きます。そちらは小説家の松原崇さん、本名、大沢武志(おおさわたけし)さん。そちらはシナリオライターの中乃鐘昌明さんですね。そちらが都立亀水(きっすい)高等学校の水篠颯太さん、イラストレーターのまりねさん、本名、皇浦綾乃(こううらあやの)さん」

松原、中乃鐘がまりねの方を向いて。
松原「名前、始めて知った」
中乃鐘「あ、そんな名前だったんですね」

まりね、顔を真っ赤にして。
まりね「す、す、す、すみません、隠すつもりはなかったんですけど」
菊地原「突然ここへお連れして申し訳ありません」

メテオラ、極めてクールな言い方で。
メテオラ「銃ではなく、名刺とハイヤーで迎えるべきでした」
菊地原「失礼しました」
菊地原「率直に申し上げ……私たちはこの現象に於いて、どこに着地点を置いて対処したらいいのか、まるで解っていません。あなた達の現出に目的があるのか、そうでないのか、そうでなくてもなぜ現出したか、どういう扱いで接すればいいのか。ありとあらゆる情報が不足している状態です。ですので、本会議としては、あなた方と接触する機会を注意深く伺ってきました。本来であればもっと繊細に機会を伺うつもりでいたのですが……巨大駆動体が現出した段階で、偶然であるのかどうか、その確認を取る時間はもはやないと判断し、そこで非常措置を採らせて頂きました」
菊地原「そこまでは宜しいでしょうか」
メテオラ「話を続けて下さい」


73/菊地原「本日お越し頂いたのは、政府が指定する『特別災害一〇五号事案』に対する協力のお願いです」


菊地原「去る七月二十三日、気象庁はじめいくつかの場所で、原因不明の異常な電波干渉、磁場異常を観測。西海大学地震研究所、及び東京通電信データセンターの記録に残っています。都内の各所で観測されたこの現象が、恐らく始まりだったと、当会議は結論づけています」
菊地原「その日を境に、警察や消防に『異様な風体の人物を見た』『空を飛んでいる』等の届け出や相談が爆発的に増えました。しかしこの段階ではまだ、警視庁の認識では風聞やいたずらの類い──よくある生活安全課の案件でしかありませんでしたが」
菊地原「九月一日、二度目の電波干渉が観測された後の事です。午後二十時三十四分、都内杉並区大田黒公園に於いて路上で暴行・乱闘事件発生の通報、所轄の警察職員二名現場到着。当該被疑者二名のうち、被疑者乙は木刀の様なもので電柱を損壊、被疑者甲は空を飛んで拳銃の様なものを発砲していたと。二十時五十分、被疑者甲は空へ消え、被疑者乙は荻窪駅方面へ逃走。ちなみに出動に当たった警察官はその後報告書類を隠蔽し、一名は病気療養を理由に休職願いを出していました」

菊地原の報告を背景に、闘う中年男と弥勒寺の絵。再び会議室へとカメラが戻る。
中乃鐘「それは……ふつう、そうなるよね」
まりね「お巡りさん、気の毒です」
セレジア「木刀は、あのサンシャインで助けに入った男ね」
メテオラ「もう一人は──」

松原、眉をしかめて。
松原「敵側に着いた『おっさん』か」
菊地原「これを皮切りとして同様の事件が多数頻発し始めた事を受け、警視庁刑事部内で正式に捜査を開始。その過程で」

写真を見せる。壊れた自動車。または、吹っ飛んだ屋根。空を飛んでいる何者かの写真。
菊地原「当会議が正式に発足した理由は、この一連の騒動に関係する暴行傷害事件の発生です」

別の写真を見せる。
菊地原「宝田直也(たからだなおや)さん、漫画家。ペンネームは高良田概(たからだがい)さん。ご存知でしょうか」
中乃鐘「知ってます、「月刊チューズデー」で描いてる作家さんだ」
菊地原「九月七日二十一時、高良田氏は荻窪警察署に出頭。脅迫を受けているので保護して欲しいという届け出をされ、職員が面談をしていた時」


74/警察署に乱入してくる『キャラクター』。武装した馬に乗り、大槍を構えた白銀の女性騎士。


女性騎士「『造物主』はどこだ」

大混乱の警察署。ピストルを抜く警察官をなぎ倒して進む女性騎士。大パニック。


75/菊地原「この事件で重軽傷者二十三名を出し、殆ど組織的な抵抗が出来ずに警察署は制圧されました。初動の遅れたせいもありますが、それは致し方ない所でしょう。そもそも常識を超えた事件ですから」


まりね「あれ、ニュースだと、警察署の火事だって」

菊地原、苦虫を噛み潰した様な顔をして。
菊地原「あまりにも馬鹿げた事件なので、新聞報道も真相を掴みかねたのでしょう。一部のタブロイド紙を除いては、ありきたりの理由しか上げていません。私達が箝口令を布いてしまうと、むしろ隠蔽を謀ったと言う行為そのものが、事実を暴露する可能性があります」
松原「宝田さんは」
菊地原「現在捜索していますが、宝田さんは現在も行方が解っていません」

次の資料をめくる。
菊地原「警察署襲撃の容疑者は、彼女です。講学社刊「月刊チューズデー」連載の『緋色のアリステリア』ヒロイン、アリステリア・フェブラリィ」
菊地原「それまでは只の愉快犯、誤認、錯誤、いたずらの可能性がありましたが、関係者の証言からも、只の仮装した襲撃者が……しかも単独で、武装した警察官を制圧したとは考えられない。物理的には考えられない方法で暴行を働いたという証言もあり、現場検証でその痕跡も確認されています」

写真。破壊された留置場、斜めに切り裂かれているスチール製の机。
菊地原「重軽傷者まで発生したこの事件を境に、認識は変わりました」
菊地原「警察庁から上がった報告を元に、政府は重大事案として当会議を発足させるに至りました。それまでに上がった報告を包括的に検証した所、認めがたい結論ではありますが──現実に存在しない架空の人物等が、アニメ漫画そのままの能力を持って、都内に突然現れたという事実を認めない事には、対処の突端が掴めません」
メテオラ「私達が妄想であるなら、次はあなた方が一斉に認識異常になった可能性を考えるしかない」
菊地原「正気は客観的観測が確立されている時のみ有用で、それを論じる事は余り意味がありません。かくあるべしの上で対処する事が、私どもの最も有用な経験則です」
菊地原「今現在、最も治安が脅かされる重大事案に関しては、幸いにも荻窪署襲撃事件のみに留まっていますが──今後に何が起きるのかは極めて不明瞭であり、予断を許さない状況にあります。それに、大変申し上げにくいのですが」

クリップボードの資料を捲る菊地原。
菊地原「今回巨大駆動体、平たく言えばロボットですね……が現出した事について、迅速に非常措置を採らせて頂いたのも、荻窪事件での警戒態勢の他に……九月二十日、十条駐屯地内における自衛隊官給品盗難の件があったからです」

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