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レクリエイターズ ネイキッド

7 july

7月28日

7月28日

   

194/男「あっいた! だーもだーもだーも! へへへ」

急の事で面食らう松原、有無をも言わさず男に手を掴まれ、ぶんぶんと握手をされる。
男「松原さんですよね、『フォーゲルシュバリエ』の。あーもう第一作目の「魔法使いは再び微睡(まどろ)む」から読んでます読んでます。あっ今度サイン下さい、あんまり好きすぎてセレジアの薄い本なんか買い漁ったりしてまして、ええもう」

げんなりする中乃鐘、男に耳打ちする。
中乃鐘「お前それ、セレジアさんの前で言ったらほんと死ぬぞ」

松原、あまりのテンションにちょっと引き気味になりながら。
松原「え、えーと、すみませんすみません、誰......でしたっけ?」

菊地原が割って入る。
菊地原「申し訳ありません松原さん、アニメ会社の方とは一度お会いして頂いてたんですが」
菊地原「改めてこちら、有限会社ハイパーテンション所属、『ほしぞら☆ミルキーウェイ』でシナリオを執筆していらした──......」
大西「どーも、大西です。大西にしお。ガネっちとは前から知り合いでして、こいつんとこでも仕事してます」
中乃鐘「こいつ、松原さんと会う前からの腐れ縁なんです」
大西「そうそうそう。前はよくこいつとメイドカフェ巡ってましてね、アキバ界隈のメイド喫茶を完全制覇しようって言ってたんですが、入れ替わり激しくて追っ付きませんよえっへっへ」

中乃鐘、顔真っ赤にしながらビシッとツッコミを入れる。
中乃鐘「う、うるさいんだよ!」

菊地原、二人のやり取りに頭を抱えながら、松原と高良田に説明する。
菊地原「解りましたもういいですか。......えー、宙に浮いてる状態の『星河ひかゆ』さんの処遇について、原作側である大西さんにも助言を頂こうと。次の会議で正式に顔合わせして頂こうかと思っていたのですが」
中乃鐘「新キャラ出て来る度に増えますもんね、参加する企業も」

菊地原、すこし顔を引き締めると。
菊地原「......ええ。メテオラさんは、この状況にずっと危機感を持っています。だからこそ、主導的に状況を制御出来ている間に、決着を着けたいと」

三人を見渡す菊地原。
菊地原「大西さんに来て頂いたのでちょうどいい。この機会にひかゆさんについてのご意見を伺えれば」

ああ、といってもじもじし出す大西。
大西「あのーですね自分、まだ『被造物』? だっけ? 見てないっつか会ってないんですよねえ。なんかタイミング外しちゃって。というか見たいんですけど、んもう、マジ超見たい」

中乃鐘が菊地原に困り果てながら懇願する。
中乃鐘「言い出したら聞かないです、こいつ。すみません! 菊地原さん」

菊地原、溜め息をついて携帯に電話をする。


195/初めてひかゆに引き合わされる大西。ひかゆは上目遣いに大西を見て、おどおどとしながら挨拶をする。
ひかゆ「ど......どうも......あの......星河......ひかゆ......です」

大西大興奮。目をキラキラさせながらひかゆに抱きつく。
大西「ひかゆーッ!! 俺だ!! 結婚してくれーッ!!


ひかゆ「いゃあーーーーーーっ!!!! 何この人ーーーー!!


菊地原や松原に引き剥がされる大西。
菊地原「駄目です大西さん! 彼女はあなたの創作物ですが、こうして現界してる今、人権を尊重されるべき個人です!!


大西「完璧じゃないか、パーフェクトではないか!! 写真! ツーショットで写真!! しゃしンッ!!


後ろから大西をぽか、と殴りつけるセレジア。
セレジア「あんたねー! 生みの親なら、もう少し気を遣って上げなさい!」

振り向く大西、そこに腕組みをして立っているセレジアと、少し困った顔をして見ているメテオラ。大西は痛みも忘れて、さらに喜色満面になる。
大西「メ、メテオラにセレジア......話は聞いてたけど......」
大西「なんだこの夢の様な空間は......!! 俺の嫁で構成されし見果てぬガンダーラとは......この事!! どんな夢でも叶うというよ!!


セレジア「誰が嫁だ」

その刹那メテオラに抱きつこうとする大西。
大西「メテオラー! 結婚してくれー!!


メテオラ、すごいほおずりをされそうになり力の限り手で拒絶しようとする。イヤな顔をしつつもドライな口調で。
メテオラ「よしてください」

セレジアが再び大西を殴り、菊地原達が大西をメテオラから引き剥がそうとする。
セレジア「離れなさいこの変質神(へんしつがみ)」
菊地原「大西さんいい加減に」
中乃鐘「いやもうお前ほんっとやめろ、そういうの」

大騒ぎでもみ合いする彼らを見ながら、もぐもぐとスナックを食う鹿屋。
鹿屋「『造物主』っても色々なんだねえ、弥勒寺の兄ちゃん」
弥勒寺「まともじゃねえな。やっぱアルタイルの方に付きゃ良かったかな、俺」

そういって溜め息をつく弥勒寺。

菊地原が机をどん、と叩いて一喝する。
菊地原「大西さん。これはアイドルの握手会でもコスプレ大会でもありません。彼女の能力を付加する為の話し合いです。忘れた訳ではありませんね」

その剣幕に場が素に返り、抱きつこうともがいていた大西、羽交い締めにしていた中乃鐘が手を離す。
大西「あ、はいはい。うわーメテオラに触っちゃった。自慢しよう自慢」
菊地原「機密ですから禁止です」

あまり悪びれもしない感じでメテオラから離れる大西。態度がでかい訳ではなく、どうやら天然で人に気を遣わないタイプの様だ。

メテオラ、お手拭きで顔を拭きながら。
メテオラ「とはいえ星河さんは、設定的にも普通の女子高生。能力と言っても、『承認力』を伴う改変は難度が高い」

大西、そこにあった缶コーヒーをパシっと開けると。
大西「え? なんで?」
大西「簡単っすよ。余裕余裕」
松原「簡単って、あんた」

皆が注目する中、大西は変わらない態度で。
中乃鐘「どうすんの、具体的に」

大西、ごくりと缶コーヒーを飲んだあと、指をピンと立てて。
大西「スピンオフ」

にん、と笑う大西。

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